サイゾーpremium  > 連載  > 友清哲のビールの怪人【21】/震災をきっかけに浸透した東北弁【「んだ」のビール】

――すべてのビール党に捧ぐ、読むほどに酩酊する個性豊かな紳士録。

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いわきの黒ビール『ビアンダ』の生みの親、「浜田屋」の3代目の佐藤哲也さん。街の“お酒の相談役”として、訪れる客それぞれに最高の1杯を勧めてくれる。

 福島県のいわき市に、いっぷう変わったビールが存在する。見た目はいわゆるスタウト(黒ビール)だが、独特の香りと芳醇な旨味を持つこのビールは『ビアンダ』と名付けられ、2008年からいわき市内で限定販売されている。クラフトビール・ブーム全盛の昨今において、これはなかなかのレア物だ。仕掛人の佐藤哲也さんに話を聞いた。

「『ビアンダ』はもともと、地域経済の活性化を目的に開発したビールです。量販店や大手ショッピングモールの進出によって、昔ながらの酒屋はジリ貧の状態に陥ってしまい、将来に大きな不安を抱えています。そこで地域に新たな特産物を作ろうと考えて、ビール造りに乗り出したのです」

 かくいう佐藤さんは、1926年(大正15年)から続く老舗酒販店「浜田屋」の3代目。『ビアンダ』の醸造は新潟県の新潟麦酒に委託され、販売は佐藤さんの音頭で市内6店舗の酒販店でスタートした。

 ところが、思わぬ誤算があった。当初は協力を匂わせていた自治体が、このプロジェクトにのってこなかったのだ。

「市の担当者によれば、地元の原材料が使われているわけでもないビールを、公式な地ビールと認定するのは難しいとのことでした。当初の期待が大きかっただけにガッカリしたのは事実ですが、これはやむを得ないですね」

 意気消沈しながらも、それなら民間の手で『ビアンダ』を盛り上げようと佐藤さんは考えた。しかし、スタートからケチがついてしまった感は否めず、反響は今ひとつ。やがて参加店は少しずつ減っていき、気がつけば『ビアンダ』を取り扱う酒販店は、佐藤さんが営む浜田屋のみになってしまったという。

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