人類とは旅する動物である――あの著名人を生み出したファミリーツリーの紆余曲折、ホモ・サピエンスのクレイジージャーニーを追う!
アンバー(Amber Liu)
(絵/濱口健)1992年生まれ。09年にf(x)のシングル「La Cha Ta」でデビュー。f(x)としては11年から15年までに計4作のアルバムと2枚のEPをリリース、アンバーは作詞作曲でも貢献した。また近年は、BTSのパロディなど、ユーモラスなYouTubeでも知られる。
(絵/濱口健)
没問題、没問題、小姐!
私がそう言った一瞬、「予想だにしない場所で北京語話者に出会った」という驚愕の表情を見せた彼女。だが、すぐに神妙さと感謝の念をミックスした笑顔となり、拱手(右手の拳を左手で包む仕草)をすると、「大謝、大謝」と言ってくれた。
カタコトでも北京語はしゃべれたほうがいい……その思いを強くした瞬間。それは2016年2月下旬の有明コロシアム、f(x)コンサート後のメディア向けミート&グリート会場での一幕だった。
一昨年の夏、台湾LGBTQ界の大物(女性)と「K-POP界のジェンダー解放度の不均衡」について話したことがある。彼女は「K-POPの男性たちはマッチズモな男性像を壊しつつある。なのに女性アイドルは旧来の“女らしさ”から解放されず、その型から逸脱した例は見当たらない」と嘆いた。だがその直後、彼女も私も異口同音に「ただひとりを除いて」と付け加えたのだ。
そのひとりとはもちろん、アンバーことアンバー・ジョセフィーン・リウである。
きみ知るや、K-POPが人材を世界に求めていることを。いや、TWICEに始まったことではない。2PMのニックンはタイ系アメリカ人、EXO-Mは6人のうち4人が中国人か中国系だったし、ジェイ・パークのようにコリアンはコリアンでもコリアン・アメリカンもいる。
アンバー・リウは?