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大石始のマツリ・フューチャリズム【44】

進化し差別化が進められる、気候影響を受けぬ雪まつり

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――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

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もっともハードコアな雪まつりのひとつともいわれる「新野の雪祭り」(長野県下伊那郡阿南町)のワンシーン。『祭りのふるさと あなん 阿南町の民俗芸能』(阿南町教育委員会)より。

 2019年は台風が猛威を振るい、各地に甚大な被害をもたらした1年だった。気象庁の調査によると、台風の発生数は平年より多い29個。日本への接近数は15個で、そのうち5個が上陸した。世界的にも各地で異常高温や大雨による災害が発生し、気候変動の影響は年々深刻になっている。

 その台風の襲来や大雨によって、多くの祭りや盆踊りが影響を受けた。徳島市の阿波おどりは8月14日、15日の2日間が開催中止に。荒天による中止は16年ぶりのことだったという。同地の阿波おどりの場合、演舞場でのチケット販売が重要な収入源となっているため、開催中止による経済的ダメージは大きい。また、市内のホテルで宿泊のキャンセルが相次ぐなど、損害は広範囲に及んだようだ。

 そして、近年の急激な気候変動の影響をダイレクトに受けているのが、北海道や東北で行われているさまざまな「雪まつり」だ。気象庁によれば、温暖化が進んでいるとはいえ、北国の降雪量そのものにはそれほど大きな変化傾向は見られないという。むしろ問題となっているのは、気温上昇による雪像倒壊などの危険性が高まっている点。

 毎年冬に開催される「さっぽろ雪まつり」(北海道札幌市)は雪で作った大小の像が展示され、200万人もの観光客が訪れる冬の札幌の風物詩だ。札幌観光協会と札幌市の主催によって1950年に初開催され、初年度は地元の中高生が作った6体の雪像が展示された。当初は手作りの素朴な祭りだったが、年々規模は拡大し、トラックとブルドーザーを動員した巨大な雪像作りも行われるようになった。そして事故が起きたのは12年。その日は初春なみの気温だったこともあり、一部の雪像が倒壊し、観光客が怪我を負ってしまったのだ。以降、「さっぽろ雪まつり」では再発防止のため、雪像のデザインに関するガイドラインを強化した。

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