官邸を裏から操るエリート官僚
一般的にはあまりなじみのない名前だが、2019年末に「週刊文春」12月19日号、同26日号と立て続けにスキャンダルが報じられ、一躍話題になった官僚がいる。それが和泉洋人氏だ。菅義偉官房長官の後押しにより、内閣総理大臣補佐官に抜擢された和泉氏だが、傍若無人な振る舞いにより批判を浴びているという――。
京都大学iPS細胞研究所のHPでは、山中教授からの「研究資金ご支援のお願い」が掲載されている。
首相官邸に“陰の官房長官”と呼ばれる人物がいる。内閣総理大臣補佐官、和泉洋人氏――。官邸といえば経済産業省や警察庁の出身者が目につく中、和泉氏は国土交通省の出身ながら、担当する分野は実に手広い。官邸に権限を集中させるために設けた「国家戦略特区」を立案したのを手始めに、東京五輪パラリンピックのシンボル「新国立競技場」の建設も主導。沖縄・辺野古の米軍基地移設工事までも手がけ、首相の外遊にも随行するというとんでもない“スーパー官邸官僚”なのだ。
やり手官僚だけに、敵も多い。2019年末、「週刊文春」(文藝春秋)に厚生労働省幹部の美人女性医師との不倫スキャンダル【1】が報じられ、その名を目にした向きも多いだろう。大手紙の政治部デスクの話。
「2人の関係は公然の秘密でした。なれ初めは一昨年の夏。安倍首相がターゲットになった例の国家戦略特区をめぐる加計学園問題で、実務を担当した和泉さんも国会で追及を受けていたさなか、官邸内で突然倒れたんです。呼吸も止まってしまい、絶体絶命のピンチに陥った和泉さんを救ったのが、官邸に偶然居合わせた女性医師でした。九死に一生を得てからというもの、女性医師は和泉さんのお付きとして官邸内を闊歩し、厚労省審議官の地位も得た。すると、権勢を振るいたい女性医師は和泉氏の手を借りて医療研究費の私物化に走り、あろうことか、あの山中伸弥教授が手がけるiPS研究予算が目障りとばかりに削減しようと画策したのです。さすがにノーベル賞受賞者を相手に横暴すぎると、官邸内や厚労省から批判が噴出しました」