――ドナルド・トランプ政権誕生以降、世界各地で「○○のトランプ」と呼ばれる保守派リーダーたちが続々登場している。近年は欧州を中心に「ポピュリズム」が台頭していることもひとつの要因とも見られているが、なぜ世界的にこのような過激派たちが人気を博しているのだろうか?
『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』(日本経済新聞出版社)
昨年12月18日、米国下院本会議はドナルド・トランプ大統領による「権力乱用」と「議会妨害」について、弾劾条項2項目をいずれも可決した。これによりトランプは米国史上、下院に弾劾された3人目の大統領となり、今年の大統領選での再選が危うくなりはじめている。
しかし、その一方で正確さに定評のある大統領選予測モデルを擁する調査会社であるムーディーズ・アナリティクスは、今回もトランプが大差で勝つと予測。ほかにも「QAnon」というトランプを救世主と仰ぐ猛烈な支持層も存在するなど、トランプ人気はいまだに根強い。
どれだけ、常識人がトランプを批判したところで、暴言と排外的な主張を吠える保守派リーダーは大衆から支持を集めてしまうということだが、他方で世界を見渡すと、2016年のトランプ政権の誕生以降、各国で「トランプっぽいリーダー」が台頭してきている。トランプ同様のボサボサの金髪が特徴的で、フェイクニュースと人種差別的な発言を撒き散らす英国の首相や、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんを「あんなガキ」と呼ぶ、ブラジルの大統領がその代表格だ。そして、それは枚挙にいとまがない。
一体世界はいつから、大統領、首相、党首など、政治家としてトップの立場にいるにもかかわらず、差別的な発言を繰り返すような、自国ファーストの保守派リーダーで溢れるようになったのだろうか? そして、その極論と排外的な姿勢は世界にどのような影響を及ぼしているのだろうか?