――今夏あたりから、日本のヒップホップ界で物議を醸しているSATORUという男がいる。これほどハードな内容を、ここまでダイレクトに歌ったラッパーはいただろうか――。地元の栃木・足利で直撃!
(写真/西村 満)
「オレの彼女薬中/親父相手に売春/吸いまくった脱法ハーブ/パクられた成田空港/マリファナが500グラム/椅子の上にシャブが2つ/未成年とオヤジ狩り/美人局で荒稼ぎ」。SATORUは「ヴァギナ」という曲で、彼が“そこ”からこの世に出て22年間のことを怒鳴るようにラップする。また、同曲は彼が2019年4月に留置場から娑婆に出て最初に録音したものでもあるという。以降、次々と発表した「MAKA」「まざふぁきびち」「丸まったポンプぶっさしたlady」「アナル舐めろmotherfucker」などの、過度に暴力的で性的な内容は日本のラップ・リスナーの間で賛否両論を巻き起こし、気づけば“SATORU”はバズワードになっていた。一方で彼の表現が人を惹きつけるのは、そこにユーモアと悲しさが同居しているからだろう。SATORUのラップはストレートなようでいて、ニュアンスは複雑だ。その背景を聞くべく、彼の地元=栃木県足利市へ向かった。