交換が必要な水道管8万キロ分!?
これまで本誌でも、日本の水道行政や財源確保、民営化に対する諸問題を取り上げてきた。これらに対して、AI導入などデジタルトランスフォーメーションを視野に入れ、実際に手掛けているベンチャーもあるようだ。
『水道民営化で水はどうなるのか』(岩波ブックレット)
日本の水道が危機に瀕している。
日本の水道は、世界でも類を見ないほどの安全性を誇っており、その上、世界屈指のおいしい水を提供している。そんな日本の水道が、人口減少や節水意識の高まりにより需要が減少し、比例して水道料金収入も減少している。今後、水道事業は一段と採算が悪化していくことが予想されているのだ。
この危機の背景には、水道利用量の減少のほかにも耐用年数到来による水道管の更新、耐震化された水道管への変更、水道事業の職員数の減少など複合的な要因がある。
総務省の「水道財政のあり方に関する研究会」が2018年12月6日に発表した資料によると自治体の水道事業は、16年度時点で簡易水道を含めて全国に2033。このうち、上水道事業は1263、簡易水道事業は702事業、用水供給事業は68事業となっている。
これらの水道事業の収支状況は、16年度において4044億円の黒字だが、128の事業(6・3%)が赤字となっている。この赤字事業のうち、105事業が上水道事業だ。
「水道事業の収支悪化には、各方面で問題になっている人口減少が大きく影響しています。要は、これに伴って水道利用人口も減少しているわけです。実際、事業全体の約8割が水道利用人口5万人未満の地域で、経営効率の悪化が目立っているんです」(経済誌記者)