「神韻霊峰」(七面山)1943年3月、岡田紅陽写真美術館蔵
6月7日、政府は新天皇の即位を祝う献上品を皇室が受け取ることができるように閣議決定をした。議決案によれば、即位の礼の前後に皇室は天皇の即位を祝うために贈与品を受け取ることができ、贈与できる団体についての基準は内閣が設けるようだ。個人からの品や金銭は受け付けないという。
今回、安倍内閣一同からの献上品は、あいちトリエンナーレへの補助金不交付問題で時の人となった金工作家の宮田亮平・文化庁長官(東京藝術大学前学長)による令和時代をイメージしたイルカと波の作品なのだという。
「富士の写真家」岡田紅陽も1943年に「神韻霊峰」【108ページ】と題する作品を天皇に献上している。また、1894年に鹿島清兵衛も明治天皇の大婚25年を記念して大写真「富岳 戴雪之照影」を献上しているように、富士山をモチーフにした作品が数多く皇室に献上されてきた歴史がある。神武天皇の即位から2600年目に当たるとされた1940年に横山大観が皇室に献上した富士山の絵「日出処日本」同様、「神韻霊峰」も雲上に高く聳える富士山と天皇、もしくは日本という国家を重ね合わせたものだといえる。