――女性向けエロマンガが活況を呈している。中でもBLで描かれる男性像はよりリアルに、より肉感的に進化を遂げているという。持たざる者が描き、持たざる者が読む男根とはいかなる姿か……深遠なるペニス描写の今に迫る。
『本当はあ~んなBL日本昔ばなし』(ふゅーじょんぷろだくと)
今、女性向けのエロマンガが過去かつてないほどに花盛っているという。TL(ティーンズ・ラブ)、レディコミ(レディースコミック)などカテゴリーはいくつかあるが、中でもエロ描写の先鋭化が著しいのがBL(ボーイズ・ラブ)だ。
「TLは、男女の恋愛を描いたものでエロ描写は男性向けのそれとは比べ物にならないくらいおとなしく、レディコミは不倫など下世話でドロドロした物語の展開が人気で、露骨な描写はそう多くありません。ところが、男性同士の関係を描いたBLにおいては、エロ描写の過激化が進んでいます」(BL誌編集者)
男同士の恋愛をテーマにしたテレビドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の大ヒットも記憶に新しいが、BLの市場規模はすでに200億円以上とも言われている。今や大手のコミック出版社が続々と参入し、現在では月間平均100冊以上のBLコミックが発売されているという。コミック全般の売り上げが厳しい状況にありながら好調を維持しているジャンルだがそれだけに、悪い意味で目立ってしまうことも。
「2017年に東京都の不健全図書に指定された出版物は年間27作ありましたが、そのうち16作がBL作品と、初めてBL作品が全体の過半数に達しました。翌年以降もBL作品の不健全図書指定は続いています。この背景には、成年マークなしの男性向けエロが軒並みマークを付けた表示図書化、または出版社自体が撤退したため、数自体が減少したので相対的に女性向けエロが目立つようになったことが大きいと思います。また女性向けのエロ作家や編集者がまだ指定されることに慣れていないため“程度”を把握しきれていない側面もあるのではないでしょうか」(不健全図書ウォッチャー)
エロマンガの修正は出版社が入れており、入れ方はさまざま。一般的に電子書籍よりも紙のコミックのほうが修正部分は少ないが、現在は全体的に消しを強くする傾向にある。
「不健全図書指定の明確な基準はありません。それがわかれば編集者も苦労しないと思うのですが、確実な答えはないので、目をつけられたら終わり。何をやっているのかわからないほど白く消していても指定されることがあります」(同)
それならばいっそ初めから成人向け(18禁)にしてしまえばよいのではと思うが、そうもいかない事情がある。