サイゾーpremium  > 連載  > 丸屋九兵衛の音樂時事備忘「ファンキー・ホモ・サピエンス」  > 「ファンキー・ホモ・サピエンス」【75】/【m-flo】多様性を体現する3人の帰還
連載
「ファンキー・ホモ・サピエンス」【75】

【m-flo】在日、ラティーナ、トレッキー。多様性を体現する3人の帰還

+お気に入りに追加

『KYO』

1912_FHS_12_JK_230.png

m-flo(販売元:rhythm zone)
やはり、この3人ならではのマジックがきらめきまくるアルバム。レゲトン界の伊達男、J・バルヴィンが歌う「HUMAN LOST」は、もしかしてm-flo史上初の本格スペイン語サビ? しかしカリビアンな要素は、むしろJP THE WAVYをフィーチャーした「Toxic Sweet」で光る。20年間紡いできたストーリーは、まだ続いている!

 今や、ONE OK ROCKにカバーされた「To Feel The Fire」をスティーヴィー・ワンダーがセルフリメイクしたら、「俺たちのワンオクのカバーするとかふざけてんだろ。誰だよこの外国人」といった意見が噴出する時代。つまり、視野の狭さに合わせて自己完結する邦楽リスナーが増殖しているのだな。それはそれで面白いが、20年前の状況を思い出してみよう。

 1999年の日本――そこには、ちょっとした「日本語R&Bブーム」があった。その流れを先導した宇多田ヒカルとMISIAは今や別世界の人なので想像しづらいだろうが、とにかく彼女たちの「Automatic」や「つつみ込むように…」といったヒットに新たなマーケットの可能性を見出したレコード会社各社が、国産R&B(とヒップホップ)を売り出そうと奔走した時代である。

 良いものもヒドいものもあったが、総じて、我々のような洋楽リスナーがダブルスタンダードを適用せざるを得なかったのは事実だろう。つまり洋楽に慣れた耳で邦楽R&Bを聴く際は、合否ラインを下げるのである。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年5月号

新・ニッポンの論点

新・ニッポンの論点

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【マルサの女】名取くるみ
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • 【AmamiyaMaako】スタジオはいります
    • 【Lee Seou】八面玲瓏として輝く物言う花
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【雪村花鈴&山田かな】CYZOデジタル写真集シリーズ
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ