――米国では洗剤を食べる動画が流行したり、トランプ大統領を救世主と仰ぐQAnonが誕生するなど、目を疑うような社会現象が次々に起こっている。一方でNetflixには、米国のリアルを取り上げたドキュメンタリーがいくつもあり、これらを見れば米国の今がわかる!?
『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 :GAFAを超える最強IT企業』(新潮社)
40代以下の米国人にとって、Netflixは生活に欠かせない存在のようで、巷では「Netflix & Chill(ネットフリックスでも見てくつろごう)」というスラングが定着しているほどだ。
そんなNetflixの中でも存在感を示しているのがドキュメンタリー作品である。宗教や人種差別、環境問題といったデリケートな話題にも遠慮なく踏み込んでおり、既存のメディアが伝えきれない米国社会の実像が詳しく掘り下げられているのだ。最近では新宗教団体と地元住民の対立を描く『ワイルド・ワイルド・カントリー』や、米国政府の中枢に根差したキリスト教右派組織に迫る『ザ・ファミリー‥大国に潜む原理主義』などが注目を集めている。
また、配信されるドキュメンタリーは時事性が高いのも特徴だ。今まさに注目を浴びている人物やムーブメントを敏感にすくい取り、消費されていくひとつの流行にスポットライトを当てている。本稿では、Netflixで視聴できるドキュメンタリー作品を通じ、米国社会の“今”に迫りたい。