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第1特集
タブーな映画・ドラマガイド【2】

【笛木優子】私が韓国で女優を志した理由――ツッコミたくなるあり得なさが面白い

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――近年『新感染』『神と共に』など、国内でもメガヒット作を連発している韓国映画。そして、『冬のソナタ』ブームから15年近く経った現在も根強いファンをつけている韓流ドラマ。傑作揃いの韓国エンタメ作品群から、韓流の目利き達が独特の視点で映画・ドラマの深奥を語る。

■笛木優子(女優)

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1979年、東京都生まれ。01年11月に韓国のドラマ『わが家』で女優デビュー。その後も『ガラスの華』や『IRIS』など、韓国ドラマに多数出演し人気を博す。最近の出演作として、『高嶺の花』(日本テレビ系)や『駐在刑事』(テレビ東京系)、映画『町田くんの世界』など他多数。

 私が韓国映画に興味を抱いたきっかけは『八月のクリスマス』【4】を観てから。当時所属していた事務所の社長から「主人公があなたに似ているから観てみなさい。勉強も兼ねて」と言われたんですが、その頃の私は「女優になりたい」と言っていたわりには、あまり映画も観ていなかったので、正直「韓国映画なんて……」と思っていたんです。今回の趣旨である“タブー破り”という部類には入らないかもしれませんが、私が韓国で女優をやりたいと志すことができた作品です。観た後の“余韻”が素晴らしく、「私もこういった映画に出たい」と強く感じさせてくれた作品です。もしかしたら『八月のクリスマス』を観ていなかったら……私はハリウッドを目指していたかもしれませんね(笑)。

 それ以降、韓国にハマり、留学することにしたんですね。当時、現地で『シュリ』や『猟奇的な彼女』といった作品を観て、さらに意欲が湧きました。韓国の若い子たちは映画館に足を運んで作品を観る人が多く、本当に映画やドラマが好きなんだなと思い、韓国で演じてみたいという私の気持ちの励みにもなりました。韓国で生活するようになってからは、語学の勉強とオーディションを受ける毎日でしたが、運がよかったのか数カ月後には、ドラマ『わが家』(01年)に出演することになりました。

 と、作品のお話に戻しますね。ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』【5】という映画があるんですが、これは実話を基にした未解決事件の物語です。サスペンスなんだけど、コミカルな描写も忘れず、すごくエンタメ性に優れている。80年代の韓国を描いているので、物語の中には当時の社会風刺なんかも入ってくるし、韓国という国の歴史を知った上で、もう一度観てみると、感じ方も変わってくるのではないかと思います。プラス、主演のソン・ガンホの演技力と表情だけでも圧倒される作品ですね。

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