――カメラマン・デザイナー、そして親日家としても知られるアッシュ・ハドソン。そんな彼が自らが体験した日本の“アングラ文化”を詳細にレポート。
一般的にドラッグについて語ることはタブーで(検証や警鐘については本誌で多く扱っているが)、基本は親しい間柄だけで話す話題だ。俺の周囲にいるヤツらもドラッグについてはおおっぴらに語らないし、ましてや中毒だなんて語ることもない。行政だって自分たちのコミュニティでドラッグの問題があることは黙っていたりする。しかし、ドラッグの問題が歴史上、長い間存在していることは周知の事実だ。
最近アメリカでは処方箋薬のザナックスやメタドンが手軽に入手できることで、乱用者が年々増加している(ザナックスは抗不安薬、メタドンは鎮痛剤)。また、相変わらずエクスタシーやコカイン、クリスタルメス(覚せい剤)なんかのハードドラッグも広く流通しているのが実情だ。俺が思うに、日本もクリスタルメスをやっている人は多い気がするが、アメリカにおけるドラッグ常用者の数は日本の比じゃない。アメリカが日本にも増して、さまざまなプレッシャーや格差社会でストレスを抱えることが一番の原因かと思うが、価格の安さも要因のひとつだ。では、具体的な値段はいくらか。ロサンゼルスでコカインは1グラム約5500円なのに対し、日本では 2万2000円前後。同じく覚せい剤は1グラム約4400円なのに対して、日本ではコカイン同様の価格帯となっていて、日本におけるハードドラッグの価格がいかに高額なのかが一目瞭然だろう。