――日本初のゲイ雑誌「薔薇族」創刊編集長が見た、ゲイメディアの勃興とその足跡をたどる
LGBTウェディング(bio books)
ゲイ雑誌「薔薇族」の読み手には、少数派ながら女性も含まれていた。
「薔薇族」創刊以前、性の話題を扱う単行本レーベル「ナイトブックス」を展開していた頃から、伊藤の元にはしばしば女性読者の来訪があり、性の悩みを打ち明けられたという。彼女たちの中には、女性を愛する女性、つまりレズビアンも多くいた。
「結婚している主婦もいたし、女優さんもいたよ。男の人に比べれば、訪ねてくる人の数は少なかった。でも、レズビアンの人もたくさんいるということは、その時よくわかった」
その後、「薔薇族」の刊行が始まると、反響の中には、少数ながらいつも女性の声が含まれていた。
伊藤の話を元に「薔薇族」への女性の反応を分類すると、大きく3つのパターンが見えてくる。
ひとつは、息子や夫など、身近な男性が実はゲイであるという事実、あるいはその可能性に困惑した女性からの相談だ。例えば伊藤は93年5月号のコラム「母親だけが悩むなんて」で、息子の同性愛に対して罪悪感を抱く女性からの相談内容を紹介し、父親の無関心を嘆いている。
そして2つ目は、レズビアン女性からの反響である。