通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!
――インターネットの最初のブームに沸き立った’95年から20余年、インターネットそのものが誕生してからは30年以上がたった。その間に、世界はどんどんITによって成長を遂げたけど、バブル崩壊後の足踏みを続けてしまっている我がニッポン。ボクらが楽しく、健やかで、安全に生きていくためには、もはやいろいろと待ったなし。世界がガンガンとテクノロジーに対応し、テクノロジーによって変化していく中、ボクらはそれにどうやって向き合い、追いつき、そして生きていけばいいのか。
●宛先ポート番号別の年間観測パケット数割合
(※)IoT機器特有のポートを狙った攻撃から、特定のIoT機器の脆弱性を狙ったより高度な攻撃も観測されるようになっており、単純にポート番号だけからわかることが難しいIoT機器を狙った攻撃が「その他」に含まれている。
(出典)NICT「NICTER観測レポート2017」を基に総務省作成
クロサカ 3年前から慶應義塾大学の特任准教授を務めているのですが、今回のゲストはその先輩であり、ネットワークやコンピュータの研究をされている鈴木茂哉さんです。鈴木さんは現在、慶應義塾大学で特任教授としてブロックチェーン・ラボ【1】の副代表を務められていますが、以前から量子コンピューティング【2】にも取り組まれていますね。
鈴木 量子コンピューティングは最近話題が増えてきましたが、実際にはまだ基礎の基礎の段階です。既存の電気回路に例えると、半導体はおろかトランジスタよりも以前の真空管レベル。僕が子どもの頃に、テレビやラジオが真空管からトランジスタに切り替わって、一般家庭で使えるようになりました。だから、今の量子コンピュータは、誰でも使えるような状況のずっと手前です。
クロサカ まだまだ、そうなんですね。ようやく一部のマニアックな人達が触り始めているくらいですか?
鈴木 もっと前の研究段階ですね。最近は、研究のスピードも速いのですが、情報の流通速度も速いから新しい技術に対してマニアックな人達が係わってくるタイミングも早いので、話題に多くなっている部分もあるんじゃないでしょうか。ただ、各方面で投資が加速しているようですから、もうちょっとしたら劇的に違ってくるかもしれません。
クロサカ 最新の情報にたどり着きやすくなっているのは確かにそうですね。
鈴木 検索でたどり着ける情報が増えたのが大きいです。一方で、まだまだ検索ではたどり着けない情報もあって、例えば僕の昔の仕事はググっても出てこないんです。
クロサカ どんな仕事ですか?
鈴木 高校生の頃からコンピュータが好きで「月刊アスキー」に記事を書いていました。学生時代の1985年には起業して『ウィザードリー』の日本語化を手がけたんです。
クロサカ 懐かしいですね。ウィザードリーは僕も遊んでいました!