――毎年、年末になると「世界で認められた日本の美人たち!」と声高々に、「世界で最も美しい顔100人」というランキングが紹介されているが、実はこれに喜んでいるのは日本のメディアだけだった!?
このランキングの価値を爆上げしてくれたティラーヌ・ブロンドー。
国際的なミス・コンテストよりも、日本人に知られている美人番付といえば「世界で最も美しい顔100人(The 100 Most Beautiful Faces)」だろう。
昨年は女優の小松菜奈や石原さとみ、TWICEの日本人メンバー・サナなどがランクインしたことから、ワイドショーやウェブメディアで盛んに取り上げられた。
このランキングは1990年から毎年発表は行われており、2010年に佐々木希が日本人として初めて選ばれたことで、日本でも注目を集めるようになった。
しかし、その実態は「TC Candler」という中年のアメリカ人映画評論家が「読者から提案を受けた内容を幅広く調べ、主観的にまとめたもの」で、発表形態もYouTubeや自身のSNSだけ。つまり、彼自身は美の権威でもなんでもないのだ。ちなみに、TC Candler.comやTC Candlerに関するウィキペディアのページが存在するのも「日本語版」だけで、他の言語のページはない。さらに10年に佐々木希が選出された背景も白人種以外の人種もランキングに入れることで多様性を持たせるためらしい。選出基準もただのTC Candler氏の気まぐれだと思うと、公平性もへったくれもない。
そんなTC Candler氏だが、プロの映画評論家(professional film critic)と謳ってはいるものの、主な活動は自身のブログや「IMDb」という映画やドラマのインターネット事典で映画のレビューを書くことだけ。これって、単に映画好きのブロガーであって、プロとは言えないのでは……? そして、驚くべきことに映画批評は16年にやめてしまい、今はこのランキングが専業らしい。いよいよ何者でもなくなってきている(ちなみに、14年に日本語で自身のウィキペディアができたことをフェイスブックで喜んでいたため、試しに本誌取材班がツイッターでインタビューのオファーをしてみたものの、返事はなかった)。