サイゾーpremium  > 特集  > タブー  > 慰めとしての百田尚樹【日本国記】

――『日本国紀』が良くも悪くも話題だ。その内容から巷では「トンデモ歴史本」とも評されているが、実際にはコピペだらけのため果たして「トンデモ」になり得るのだろうか? そこで、これまで出版されてきた歴史に関する書籍と『日本国紀』を比較考察していく!

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50万部を超えるベストセラーとなった『日本国紀』。版を新たにするごとに密かに修正が重ねられている。

 昨年11月、百田尚樹氏が『日本国紀』(幻冬舎)を上梓。瞬く間に55万部を超えるベストセラーとなり、先月28日には『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』(産経新聞出版)まで発売された。

 しかし、その内容は「『南京大虐殺』はなかった」「WGIP【註:GHQによる戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画】洗脳で日本人の精神が戦後70年にわたって破壊された」「国際共産主義運動の指導組織だったコミンテルン【註:ソ連による大規模政治工作活動】の陰謀」といった、さまざまな議論はあるにせよ、保守論壇のおなじみの言説が目立ち、他方ではウィキペディアなどからのコピペ疑惑も露呈。新聞でも詳報されるなど物議を醸している。

 どうやら、主張の賛否以前にお粗末な仕事ぶりが目立っている感のある『日本国紀』。そのため巷では“トンデモ歴史本”と言われているが、そのわりには百田氏独自の主義・主張もなく、歴史修正的な言説の焼き直しに終始しているとも見える。果たして同書はこれまでに出版されてきた「トンデモ本」と一緒くたにできるのだろうか?

 そこで本稿では『日本国紀』を超える“トンデモ歴史本”を探り、『日本国紀』との共通点や、なぜ偽の歴史が語られてしまうのかをひもといていく。

繰り返される過去の俗説――陰謀史観が生まれる理由

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