――田尻智、ルイ・ブライユ、マルガレーテ・シュタイフ……。これらの人物の名前を聞いたことはあるだろうか? 大人世代にはなじみがないかもしれないが、今やこれらの面々は伝記まんがの新定番となっているのである。
『くまモン (小学館版学習まんが)』(小学館)
学習まんがのもうひとつの定番といえば、有名な偉人たちをひとりずつまとめた伝記シリーズ。エジソン、ナイチンゲールなどが、かつてはおなじみだったが、最近のラインナップを見てみると、昔からの定番の人物に加えて、かつては見られなかった新たな人物がかなり加わっていることがわかる。特に最近の新定番となっているのが、アップルの創設者、スティーブ・ジョブズで、小学館、集英社、学研の3社から伝記まんがが出ているという人気ぶり。開拓者としての面や、型破りな性格が子どもにもアピールするようだ。また、iPhoneやiPadは子どもも触れる機会が多いだけに、物語もなじみやすいのだろう。
小学館では、ジョブズをはじめ、藤子・F・不二雄、イギリスの元皇太子妃ダイアナのほか、テディベアをつくった起業家マルガレーテ・シュタイフや、点字を発明した19世紀の盲目のフランス人、ルイ・ブライユといった聞き慣れない名前も。さらには存命中の人物でも、野球選手の松井秀喜や、ポケモンの生みの親の田尻智、そして、熊本のゆるキャラ、くまモンまでもが取りあげられている。
「子どもの偉人のイメージも年々変わってきていますし、何かをつくった人のほうが、彼らも自分の将来と合わせてイメージしやすいようです。一応従来の伝記の枠は『学習まんが人物館』として、存命の人物は『学習まんがスペシャル』。『くまモン』【6】は人間ではないので、シンプルに『学習まんが』としています。『ルイ・ブライユ』【7】などは、大人にはなじみがないですが、今の小学生は教科書に載っているので割と知っている人物なんです。そういった最近の認知度なども考慮して、人選をするようにしています」(小学館学習まんが室長・安達健裕氏)