――90年代に起きた「架空戦記ブーム」で描かれた戦争や国家とは、どのようなものだったのだろうか?
『新・紺碧の艦隊』の表紙は生頼範義が担当している。
前記事「ネトウヨが歓喜する(?)マンガ11選! 日本礼賛、左派への憎悪、人種差別――万歳! 愛国/排外マンガの変遷」に登場した古谷経衡氏からは「ギャグ」とも評された『紺碧の艦隊』『新・紺碧の艦隊』(共に徳間書店)、『旭日の艦隊』『新・旭日の艦隊』(共に中央公論新社)からなる荒巻義雄の架空戦記小説と、マンガ化された「艦隊」シリーズ。
山本五十六など実在の将校たちが戦死したかと思いきや、同じ歴史をたどる後世(異世界)に転生。同じく後世に転生したもの同士で、歴史をやり直して日本を「より良い負け」に導くためにアメリカと戦っていく……話のはずが、大日本合衆国となった日本が南樺太に「東方エルサレム共和国」という、ユダヤ人国家を建国するあたりから、敵は超能力を持つヒトラー率いるオカルティックなナチスに取って代わり、最終的にはアジアを牛耳ろうと世界を裏から操る秘密結社「海の目」と戦う荒唐無稽ともいえる展開になる。