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第1特集
アニメと映画館の蜜月【1】

制作費も宣伝費も格安!?――深夜アニメ劇場版“儲け”のカラクリ

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――『名探偵コナン ゼロの執行人』の爆発的ヒットが記憶に新しいアニメ映画界だが、近年、アニメ映画の本数は増加を続けており、邦画好調の牽引役として評価を得ている。数多公開されるアニメ映画の中でも、“深夜アニメの劇場版作品”が多く目につく。こうしたアニメ映画が急増した理由について、アニメ業界関係者の話をもとに探っていく。

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今年、もっとも話題になったアニメ映画『名探偵コナン ゼロの執行人』。登場キャラクター・安室透の女性ファン、通称“安室の女”は「安室透を100億の男に」と掲げて、興収100億円突破を目指す運動をネット上で展開していた。(画像は公式サイトより)

 今年上半期にもっとも話題になった映画といえば、アニメ映画『名探偵コナン ゼロの執行人』であることに疑いはないだろう。同作は、2018年上半期の興行収入で首位を独走。11月時点で累計興収が90億円を突破するなど、その勢いはとどまるところを知らない。11月には中国全土で7000~8000スクリーン規模の劇場公開も始まっており、日本国内でシリーズ最高の興行収入を記録した話題作だけに、中国でもヒットが期待されている。

 こうした劇場版「名探偵コナン」のヒットに限らず、近年では16年の『君の名は。』や『この世界の片隅に』、そのほか劇場版「ドラえもん」シリーズなど、08年以降の邦画好景気を牽引するのはアニメ映画だといわれて久しい。そんなアニメ映画の好調っぷりは、直近の映画ランキングを見ても一目瞭然だ。興行通信社が発表している10月の国内映画ランキングでは、『映画HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』『宇宙の法 黎明編』『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』『魔法少女リリカルなのは Detonation』といった、アニメ映画が軒並みランクインを果たしている。

 一方で、気にかかるのはこうしたアニメ映画の一般的な知名度だ。『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』『魔法少女リリカルなのは Detonation』はいずれも深夜アニメとして放送された作品の劇場版であり、基本的にはもともとのファン層を狙った作品といえるだろう。必然、そもそもの深夜アニメを知らない層を観客として想定しにくいはずの作品だ。しかし、近年こうした深夜アニメ発の劇場作品はめずらしくなく、17年には『劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』『劇場版 生徒会役員共』など、今年に入っても『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』『映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-』といった数多くの作品が公開されている。

 一般社団法人日本動画協会が発表している「アニメ産業レポート2017」によれば、08年以降、劇場アニメの制作本数は増加傾向にあり、16年には81タイトルと、00年代前半と比べると2倍以上の本数のアニメ映画が制作された。まさに“アニメ映画ブーム”といえる状況だが、傍目から見ると「こんなマイナーな深夜アニメまで映画化するのか」といった疑問も生じてくる。

マイナー深夜アニメが続々と映画化される理由

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