『Bohemian Rhapsody: The Original Soundtrack』
VA(販売元:ユニバーサルミュージック)
全22曲のうち、メインはクイーンのヒット曲。だが、そのうち11曲は初音盤化テイクだ。映画のクライマックスを飾る、85年『ライヴ・エイド』からの5曲もそう。そして私はこれを聴くと、92年4月のフレディ追悼コンサートの映像が見たくなる。
似ているのか、似ていないのか?
そう問われたら、私は「似ていない」と答え、そのあとで「だが、いい映画だ」と付け加えるだろう。クイーンの伝記映画……というより、フレディ・マーキュリーの人生を描いた作品『ボヘミアン・ラプソディ』のことである。
ちょっと前に、BTS(防弾少年団)への愛情も、K-POPという音楽への理解もない評論家先生が――しかし的確に――米欧でのBTS人気をレポートした記事を読んだ。私は逆に――いや、「同様に」と言うべきか――ロックを理解できない。では、私がクイーンについて語るのは筋違いだろうか?
しかし、そもそもクイーンの音楽は本当にロックなのか? そう決めつけるには、あまりに多彩で、あまりに普遍性を備えた曲が多くはないか? 「Killer Queen」「Now I'm Here」「Bicycle Race」「Don't Stop Me Now」等々、これだけロック不感症体質の私(ヘヴィメタルは別腹だ)ですら素直に楽しめる曲が揃っているのだから。さらに、「We Will Rock You」なんてラップの原型のひとつのように聞こえるし、「Another One Bites the Dust」に至っては完全なディスコ・ファンクである。……と、かつてブーツィ・コリンズのライブで、故バーニー・ウォーレルが、まさに「Bohemian Rhapsody」の前奏で鍵盤ソロを始めたことを思い出しながら。