――豪華な出演陣だけに頼らぬ、独自の視点と物語の奥深さがヒットの鍵! ※()内は公開日
■ヒップホップのタブーにも挑む
『ゲットダウン』
原題『The Get Down』(16年8月)
1977年のニューヨーク・ブロンクスを舞台に繰り広げられる青春ドラマであり、壮大なヒップホップ・オペラ的作品。『華麗なるギャツビー』などで知られるバズ・ラーマンが企画・制作総指揮を務め、まだ“ヒップホップ”という言葉が誕生する以前の、これから新しいムーブメントが始まるという期待と高揚感を見事に映像で表現している。時代考証などもほぼ完璧で、70年代のブロンクスの街並みを忠実に再現するために、セットや衣装などにも高額の予算を投入している。
■星野源も太鼓判を押す高水準さ!
『ヒップホップ・エボリューション』
原題『Hip-Hop Evolution』(16年9月)
もともとはカナダのHBOにて放映されたヒップホップの歴史を追ったドキュメンタリーであるが、その後、ネットフリックス・オリジナルとして独占配信し、今年からシーズン2も公開されている。ラッパーやDJ、プロデューサーなど、当事者のインタビューを中心に構成され、ヒップホップ誕生から進化への過程も描き、さらにロサンゼルスやマイアミ、ベイエリアなどへの広がりを経て、最後は90年代のニューヨークへ戻る流れはお見事。『ゲットダウン』とセットで見ておくべき作品だ。
■音楽としてのヒップホップの芸術性
『Marvel ルーク・ケイジ』
原題『Marvel's Luke Cage』(16年9月)
『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』などマーベルコミックスを原作とした人気シリーズの一環として制作されたアクションヒーローもの。物語の舞台はハーレムで、ヒップホップ・カルチャーが絶妙なスパイスとして機能している。中でも特筆すべきは音楽で、ア・トライブ・コールド・クエストのアリ・シャヒードとプロデューサーのエイドリアン・ヤングが手がけるサントラは絶品。さらに本文でも記した通り、ヒップホップ、R&B、ファンク、レゲエ、ジャズなどのライブシーンも必見だ。