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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

スーパースター・沢田研二の生き方とドタキャン騒動でも揺るがぬファンの愛

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1810_sawada.jpg『ロイヤル・ストレート・フラッシュ』(ユニバーサルJ)

 昭和を代表する歌謡界のスーパースター・沢田研二(70)が「さいたまスーパーアリーナ」でのコンサート公演当日、「9千人と聞いていた観客が7千人しか入らない」という理由でドタキャンし、世間を巻き込んだ騒ぎになった。当初、「重大な契約上の問題が発生した」と主催者の発表があったことで、様々な憶測が流れた。「観客数が契約上の問題にはならない。別な問題があったのでは」とメディアの間で囁かれていたのが、沢田による反原発運動だ。

「最近の沢田のコンサートでは反原発運動など政治的な発言が多く、今回のコンサートでも同様の発言とともに署名活動を行うということで、主催者ともめたという話も出ていた」(情報番組・芸能デスク)

 沢田はこれを真っ向から否定。あくまでも人数の問題と強調。空席のあるステージで歌うことは、「歌手としての意地で歌えない」と拒絶。スタッフの説得にも応じずに帰ってしまった。「昔から頑固で知られる男。一度、言い出したことは、そう簡単にまげない」(テレビ関係者)という沢田はメディア嫌いでも知られるが、さすがに今回は横浜の自宅近くで翌日、会見を開き謝罪した。

「自分の実力不足」が観客減少の要因と反省したが、決して悪びれた様子はなかった。

 観客が少ないこを理由にドタキャンなど芸能史にない前代未聞のこと。もっとも、予定数に届きそうもないときでも、なんとかするのがスタッフらの裏方力。

「演歌なんかの世界では日常茶番事。会場が埋まらないとき、料金のダンピングは普通。会場近くの商店街にタダで配ることもある。メディアなど関係者にサクラとして観客になってもらうこともある。空席が目立つことは歌手本人のプライドが傷つくだけでなく、来ているお客さんに“人気ないのね”と思われてしまう。よく、“会場は満席”とスポーツ紙に載ることがありますが、あくまでも主催者の発表で、実際は空席が目立つような公演もある」(興行関係者)

 その意味では沢田は空席を認めたのだが、あらゆる手を使ってなぜ埋めなかったのか、という疑問も湧く。音楽関係者の話。

「今もスターとして活動を続けている沢田のプライド。ダンピングを許さない。シャネルやブルガリが絶対にバーゲンしないことで一流ブランドのプライドを保っているのと同じです」

 沢田に対する世間の非難がある一方で、歌手仲間や業界からは「沢田らしい」「彼の美学」とエールを送る声も少なくない。

「今の沢田は群れを作らず、一匹狼の歌手。歌謡界からはみ出した感もあるが、誰もが認めている。それがエールに繋がっている」

 往年のアイドルで年齢を重ねても歌手を続けている人は少ない。郷ひろみ(63)や田原俊彦(57)がいるが、沢田とは大きく異なる点がある。郷も田原も昔と変わらない体型を維持。「いくつになっても変わらないアイドル」としてステージに立ち人気を維持している。

「若い時代からのファンが年齢を重ねても変わらず応援している一方で、新しいファンを獲得するのは難しく、いかに往年のファンが何を求めているかを知ることが大事。ビジュアル的には変わらず、昔のヒット曲を歌ってくれることを求めるファンは多い。そのためにジムで常に体を鍛え、肌の手入れなどビジュアル面の努力も必要。そうしなければファンは確実に減り、1人でコンサートすることもできなくなる」(音楽関係者)

 沢田は違う。体型の維持もしなければ、往年のヒット曲を歌うことも年々、減らしている。現在の沢田の体型は年齢と共にお腹の出てきた普通のオジさん体型。かつてのセクシーな体型は見る影もない。沢田は「今の自分の姿と新しい歌でよかったら見に来いという姿勢を貫き通している」という。そこに最近は反原発や東日本大震災の話など、政治的な話がコンサート内で増えているという。以前、東京でのコンサート会場でそんな話を始めると、「早く歌って」という声が飛んだ。すると、沢田は「嫌なら帰れ!」と叫んだ。また、前方の席なのに双眼鏡で見ているファンには「止めろ」と怒鳴り止めさせるという。昔、「お客様は神様です」と言った演歌歌手がいたが、沢田のコンサートにはそんな考えはない。

 ファンは沢田の生き方、考えも含めてファン。今回、ドタキャンされたお客から怒りの声がほとんど上がっていないどころか、「ジュリーらしい」と支持している様子。歌謡界でも稀有な存在になった沢田。歌手としての軌跡から沢田の生き方を紐解くことができる。
(以下、次回)

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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