――個性的なコンセプトレストランを数多く運営する、DDホールディングスの社長・松村厚久。難病を患いながらも、業界の最先端を常に走り続けるこの男は、その先に何を見据えているのだろうか?
(写真/増永彩子)
ドリーミーで極彩色な空間で、不敵な笑みを浮かべるこの男――松村厚久は、「不思議の国のアリス」をコンセプトにした「アリスのファンタジーレストラン」のような、ユニークなレストランなどを多数展開するDDホールディングス社長(ダイヤモンドダイニング創業者)。また、同社が東証一部に上場した2015年、彼の半生を描いた小松成美によるノンフィクション作品『熱狂宣言』(幻冬舎)で長年、若年性パーキンソン病を抱えていたことを公表した人物でもある。
脳の神経伝達物質の減少により体の障害が現れるパーキンソン病。一般的には高齢者にみられる病だが、松村は39歳という若さで診断を受け、それ以降、誰にもそのことを言わず、社長として働き続けてきた。
この日の取材は、同社が運営する「カワイイモンスターカフェ」で行われ、現場に現れた松村は、たしかに体の動きはぎこちないが、撮影時も介護を必要とせずに動き回っていた。カメラに満面の笑みでピースを向ける姿は、難病を抱えていることを一瞬忘れさせる。
DDホールディングスは、いまや従業員1万人の大所帯だ。はやり廃りが激しい飲食業界で、ましてや難病を抱えた状態で競合他社とシノギを削ることに、プレッシャーはないのだろうか?