サイゾーpremium  > 連載  > 丸屋九兵衛の音樂時事備忘「ファンキー・ホモ・サピエンス」  > 「ファンキー・ホモ・サピエンス」【62】/【88ライジング】がアジアと米国を繋ぐ
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「ファンキー・ホモ・サピエンス」【62】

【88rising】アジアと米国をコネクトする〈88ライジング〉なる集団

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『Head In The Clouds』

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88rising(販売元:88rising Records)

現代的なトラップ・サウンドは、さらに磨きがかかった。お笑いではなく真剣路線のラッパーとなったリッチ・ブライアンはもちろん、なんといってもハイヤー・ブラザーズが素晴らしい。日系のJojiが歌う曲をはじめ、ジャケット写真に見られるリゾート感を裏切らないラテン色が溢れるものもあり。とにかく傑作コンピレーション!

 先ごろ結成20周年を迎えたクレイジーケンバンドの事務所は〈ダブルジョイレコーズ〉という。ダブルのジョイとは、つまり「喜喜」。諸君も中華料理店で見かけたことがあろうか、この漢字はラックとフォーチュンを象徴するもの。表立って主張せずともわかるヤツにはわかる、汎アジア性を備えたクレイジーケンバンドらしい粋なネーミングではないか。

 中華的発想において、ラックとフォーチュンを象徴する数字もある。それは8だ。というのも、「八」の音は「発」に通じるから。恭喜發財の「發」である。フォーチュンは「幸運」と同時に「財産」を表す言葉でもあるので、英語と中国語が思いがけず合体! 中華系社会における「ラッキーナンバー8信仰」は根強く、クアラルンプールにある高さ452メートルのビル「ペトロナスツインタワー」が88階建てなのは、マレーシアにおける中華系人口プレゼンスを示すものともいえる。この「88」という数字が素晴らしいのは、ラッキーナンバー「8」を連ねたものであると同時に、その形が「喜喜」を思わせるという点。後者は、特にアジア系アメリカ人によって好まれるようだ。マザーランドたるアジアとの文化的つながりを示すシンボルとして。

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