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大石始のマツリ・フューチャリズム【29】

阿波おどりが死ぬことは永遠にない――阿波おどり内紛の実情

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――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

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有料演舞場で行われる阿波おどりではなく、路上などで行われる輪踊りの様子。踊らされる阿呆より、リアルな“踊る阿呆”にこそ醍醐味がある。(写真/ケイコ・K・オオイシ)

 この夏、日本三大盆踊りのひとつである「阿波おどり」(徳島県徳島市)の内部紛争が大きな話題を集めた。内情を改めて説明しておこう。これまで阿波おどりは徳島市観光協会と徳島新聞が主催してきたが、2016年に就任した遠藤彰良市長は、観光協会が抱える4億円強の累積赤字を問題視。また、徳島市から補助金が打ち切られたこともあり、今年に入ってから観光協会の破産手続きが開始された。

 それだけだと「観光協会の経営改善策が推し進められた」という、真っ当なニュースとも思えるが、その赤字の背景には、徳島新聞が阿波おどりを利権化し、観光協会に赤字をなすりつけてきた経緯があるとされている。また、市長は徳島新聞とのつながりが深く、各メディアでは両者間の疑惑についても報道された(市長は徳島新聞との関係を否定)。

 観光協会の崩壊に合わせて市長を委員長とする阿波おどり実行委員会が新たに発足されると、今度は同実行委員会と数々の有名連が参加する阿波おどり振興協会との間に対立が勃発。実行委員会は8月の阿波おどり本番の前夜祭から振興協会所属の有名連を締め出すとともに、有料演舞場の桟敷席のチケット販売促進のため、祭りのフィナーレとなる総踊りの中止を決定した。だが、それに反対する振興協会側は当日になって総踊りを強行――。そうした過去例のないドタバタ劇もあってか、来場者は昨年より15万人減少。有料桟敷席にも空席が目立ったという。

 一連の報道では、阿波おどりを食い物にする市長と徳島新聞の姿勢、また振興協会側の強行を問題視する指摘もあり、その構図はどちらが善でどちらが悪と分けられるほど単純なものではなさそうだ。

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