――最近、にわかに「バーレスク」という言葉を聞くことが増えてきた。東京・六本木の「バーレスク東京」などが人気を集め、ダンサーからはグラビアモデルなども輩出している。そんな盛り上がりを見せる“バーレスク文化”をひもといていく。
(写真/若原瑞昌)
欧米発のエンターテインメントであるバーレスクが今、日本でも大きな注目を集めている。クリスティーナ・アギレラ主演の映画『バーレスク』(2010年)のヒットを皮切りに、冒頭のグラビアで登場している六本木の「バーレスク東京」も盛んにメディアで取り上げられている。ほかにも、女性向けのエクササイズとして、ポールダンスなどを取り入れた「バーレスクダンス」のレッスンも人気だ。
しかしその一方で、言葉だけはよく耳にするようになったものの、バーレスクの実態についてはよく知らない、という人もまだ多いのではないだろうか。基本的には“夜の世界のエンタメ”に属するイメージの強いバーレスク。興味はあっても、実際に観に行くには少々勇気が必要、と考える読者もいるはずだ。
そこで本稿では、謎に満ちた“バーレスク”の世界をグラビア写真と共にご紹介。きらびやかでセクシーなその世界観のルーツをひもときながら、バーレスクをテーマにした店舗の興隆の経緯や、在籍する女性ダンサーの実態についてまでを追った。
まずはバーレスクというジャンル自体について見ていこう。
日本では「派手で露出度の高い衣装に身を包んだ女性が、舞台上でダンスパフォーマンスを見せるショー」というイメージが強いバーレスクだが、もともとはヨーロッパの舞台芸術を下敷きに、20世紀のアメリカで花開いたエンターテインメントである。露出度の高い服で踊れば、それがただちにバーレスクかというとそうではない。
バーレスクの定義とその特徴について、シェイクスピアや舞台芸術史を専門とする英文学者であり、国内外のバーレスクの動向にも詳しい武蔵大学人文学部の北村紗衣准教授は次のように話す。