――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!
ジョン・ボン・ジョヴィが鳳蝶美成氏の意図を知ったら、「中野駅前大盆踊り大会」のために曲を作ってくれる日が来るかもしれない……!(写真/ケイコ・K・オオイシ)
この夏、とある盆踊りでボン・ジョヴィの名曲「Livin' On A Prayer」がかかり、凄まじい盛り上がりを見せたというニュースが――“盆ジョヴィ”というダジャレめいた言葉と共に――各メディアをにぎわせたことをご存じだろうか。
舞台となったのは、2013年から東京都中野区で開催されている「中野駅前大盆踊り大会」。日本民踊鳳蝶流の家元師範、鳳蝶美成が実行委員長を務めるこの盆踊り大会は、きゃりーぱみゅぱみゅ「PON PON PON」やPerfumeの「Baby Cruising Love」などがかかるレアな祭事として話題を集めてきたが、件の事件は「ディスコと盆踊りの融合」をテーマとしたDJ CellyのDJタイムで起きた。この時間帯では、彼がプレイするディスコ・クラシックに合わせ、鳳蝶氏が先導役となって盆踊りの振り付けを半即興的にハメていく。その中でDJ Cellyはボン・ジョヴィ「Livin' On A Prayer」をプレイし、それに合わせて鳳蝶氏は直感で鹿児島を代表する民謡「鹿児島おはら節」の振り付けをセレクト、世にも稀なボン・ジョヴィと「鹿児島おはら節」の融合が実現したのだ。
事態はそれだけにとどまらず、ツイッター上でその動画が拡散され、凄まじい再生回数を記録すると、なんと本家ボン・ジョヴィまでがシェア。半ば偶然実現した“盆ジョヴィ”は、一躍世界的に知られることになったのだ。そしてテレビや新聞などの各メディアは「盆ジョヴィ」というキャッチーな言葉を使用し報道。著名な音楽評論家である伊藤政則氏も「Livin' On A Prayer」に合わせて盆踊りを踊る姿をツイッターにアップするなど、首謀者たちですら予想もしなかったであろう盆ジョヴィ・ブームが巻き起こっているのだ。