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第1特集
開発と自然災害の知られざる関係

高度経済成長期のツケで災害が噴出……日本の豪雨災害の裏にある宅地開発の闇とその歴史

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――死者は200人を超え、“未曾有の天災”ともいわれている西日本豪雨。今回のような集中豪雨で起こる土砂災害は、大半がハザードマップの危険箇所とその周辺で発生。そのような場所が宅地化されたことにも問題はあり、被災した地域は「地元の人は家を建てない場所」との声も聞く――。

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国土交通省が公開する『滑動崩落のしくみ』。地震時の造成宅地において、盛土全体または大部分が、盛土底面部を滑り、旧地形に沿って流動、変動、または崩落する現象。

「未曾有の豪雨災害」「想定外の被害拡大」「異常気象新時代」といった言葉も報道で使われた西日本豪雨。200人以上の死者を出してしまった今回の災害は、予測をすることも被害を縮小することも不可能だったのか?

「災害の原因のすべてを異常気象や自然に押しつけるのは、卑怯な方法です。そもそも日本の気象データは、網羅的な観測を始めてからまだ100年程度。10~11世紀の気温は現在より高かったこともわかっています。近年の自然災害で大きな被害が出ているのは、高度成長期に多くの人が都市に集まり、それまで人が住まなかった地域が宅地開発されてきたことに根本的な原因があります」

 そう話すのは、環境史・土地開発史・災害史に基づいた災害予測や都市計画の研究を行う立命館大学の高橋学教授。ここでは、日本の宅地開発の歴史を追いながら、災害との関係を紐解いてみたい。

 まず近代化する以前の日本では、自然災害の状況は現在とは異なるものだったのか? 京都大学防災研究所 斜面災害研究センターの釜井俊孝教授によると、江戸時代までは大地震や極端な気象災害を除いて、都市での斜面災害は少なかったという。

「その背景には、江戸時代には土地の流動性が低かったことがあります。自由に土地を売り買いすることはできませんでしたし、売買をする場合も、所有権ではなく使用権の売買。そのため農地を潰して宅地にすることはできませんでした。また江戸時代までは、沢の出口のような危険な土地は、農地に使われることはあっても宅地化はされてこなかったんです」(釜井氏)

 災害に関する科学的研究が未発達な時代でも、日本では「宅地にするには危険な土地」が人々の間で自然と認識されていたわけだ。

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