――この春に放送された『おっさんずラブ』。BLと同様、男性同士の恋愛を描いたそのドラマは話題になった一方、セクハラ/パワハラと感じられるシーンも見受けられた。LGBT的に問題はなかったのか――。
『おっさんずラブ』DVD-BOX(TCエンタテインメント)の発売も予定されている。
2018年4月期に放送された連続ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)。ダメダメな独身男・春田創一(田中圭)をめぐって、乙女心を持つ上司・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と、仕事も家事も万能な後輩・牧凌太(林遣都)が奪い合うという、おっさん同士の三角関係をコメディタッチで描いたものである。毎週土曜23時15分〜という深夜枠での放送だったこともあり、初回の平均視聴率は2・9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)程度であったが、少女マンガタッチのセリフや俳優陣の熱演、番組と連動させたインスタグラムでの展開がSNSで「キュンキュンする」と話題となり、最終回の第7話は5・7%を記録したのだった。
脚本を手がけた徳尾浩司氏は、ウェブサイト「アニメ!アニメ!」(18年6月2日付)のインタビューにおいて、BL作品を参考にしたかどうか問われ、「僕や監督、プロデューサー陣も、BLに詳しいわけではないんです。自分たちの恋愛だったらどうするか? と突き詰めて考えています」と回答している。また、LGBTへの配慮については、「あくまで純粋に“恋愛”を描きたかったというのがスタート。でも、同性同士の恋愛を描く際に、LGBTの悩みや葛藤の中にコメディを入れることで、意図せず見ている方を傷つけてしまう可能性があるので、それはしたくないと。なので、人と人が真っ直ぐ恋愛に向き合うことを主眼に置きました」と、あくまで“おっさん”よりも“ピュアな恋愛”を描くことを主眼としていたと強調している。