『結婚クライシス: 中流転落不安』(東京書籍)
――結婚をしない選択をした人や、シングルマザーがなかなか適正な保障を得られないのには、日本人が持つモラルが影響しているかもしれない。ブロックチェーンはそうした人々の権利を保障することになるのだろうか?
6月26日、自民党・二階俊博幹事長は、東京都内で行われた講演後の質疑応答で「このごろ、子どもを産まないほうが幸せに(生活を)送れるんじゃないかと、(一部の人は)勝手なことを自分で考えてね」(ハフポストより引用)と発言し、批判を浴びた。旧態依然とした結婚制度を放置している張本人の政治家がそんな発言をすれば、白い目を向けられるのは仕方ないことだろう。
ところで、結婚には共同体において「信用を確保する」機能もある。少々、意識高めに言い直せば「信用創出」である。
特定のパートナーを選ぶ、もしくは子どもを育てる行為は、「責任感」を連想させ、会社や社会により深く受け入れられるための「ライセンス」となる。「結婚して子どもを育てて一人前」という言葉は、人が若かりし頃、何度も聞かされる定型文句だろう。二階幹事長の発言は、そのような結婚・出産に関する、日本社会(もしくは世界共通)に根強く残る暗黙の了解を表現したものとなった。
前記事「テクノロジーの発達で国家制度が形骸化する?――同性愛を排除する結婚制度にNO! ブロックチェーンで刻む永遠の愛」で言及したBCは、「信用創出」という文脈でも力を発揮すると期待されている。「改ざんできない」という特徴が、特定個人の客観的な評価を、社会や企業に周知させるのに適しているという理由からだ。