――女性は日常的に使用するが、男性には縁のないアイテム、それが生理用ナプキンである。月経のつらさを実感として理解するのは、男性にとって少々難しい。しかし、月経を支えるナプキンというアイテムにスポットを当て、その歴史や日本の高い技術力を知ることで、新しい視座を得ることができるかもしれない。
生理時の女性は1日にタバスコ1本分の血を流す。大変である。これを支えるのが使い捨ての紙ナプキンなのだ。
本稿を読んでいる読者諸兄は、生理用ナプキンを触ったことがあるだろうか。女性ならば当然毎月扱うものだが、男性にとってはなかなか知る機会がなく、謎が多い存在だろう。
ドラッグストアなどで市販され、テレビCMも多く打たれているのは、「使い捨てナプキン」あるいは「紙ナプキン」と呼ばれる製品だ。他方、“自然派”の女性が愛用する、洗って繰り返し使用する「布ナプキン」も存在する。本稿では、日本国内で生理用品としてもっとも多用されている使い捨てナプキンに焦点を当てていく。
各メーカーの調査をまとめた業界紙「週刊粧業」2017年10月9日付によると、2016年の生理用ナプキン市場の売り上げ総額は前年比微減で約772億円となっている。もうひとつの代表的な生理用品である、円筒状の綿素材を体内に挿入する「タンポン」の売り上げ総額は約71億円ということからも、ナプキンが主流であることはよくわかる。
ナプキンについて知る以前に、改めて生理のメカニズムを説明しておこう。まず、子宮の中には内膜と呼ばれる壁がある。これは受精卵が着床するための場所としての機能を持つ。生理とは、一定期間受精卵の着床がなかった場合にこの内膜がはがれ、血と一緒に体外に排出される仕組みだ。この排出物を「経血」と呼ぶ。生理の期間は、だいたい5~7日程度だ。女子は10~15歳くらいで初潮を迎え、50歳くらいまで、25~38日周期でこれを繰り返す。この程度は義務教育の保健体育で習うため、さすがに知っている男性が多いと思いたい。
一度の生理期間で排出される経血の量は、人によって19~252グラムと幅がある。多い日では1日60グラム超の経血が排出される(花王調べ)。これは普通サイズのタバスコ瓶1本分にあたる。これを吸収するためにナプキンを下着に装着し、1日に4~5枚程度交換しなければならない。多くの女性がこの期間は普段とは異なる「生理用ショーツ」を身につける。ナプキンの粘着面が貼り付きやすいように、クロッチ(股間部分の布)部分が加工されているのが特徴だ【図1】。