――出版不況といわれて何年もたつが、実際のところはどうなのだろうか? そこで出版取次、版元の書店営業、そして書店員の若手に集まってもらい、改善したほうがよい出版業界の古すぎる慣習、現場の人間だからこそわかる最近の売れ筋本について語ってもらった。
[座談会参加者]
A…元・取次社員(26歳)
B…中堅出版社営業(25歳)
C…大型書店書店員(30歳)
D…個人書店書店員(29歳)
(絵/かつまたひでゆき)
A: どうして、「本」の特集で巻頭企画がこれなの? そもそも、取次がどんな仕事をしているのか、一般の人は興味ないでしょ。
B: 書店員と出版社の営業はまだわかるけど、取次は「出版社と書店の間をつなぐ流通業者、つまり問屋ですよ」といわれても、裏方の仕事だから見当もつかないだろうね。
C: でも、こうして取次、営業、書店員が普段一堂に会することはないから、良い情報交換の場かも。この業界、若い人が少ないから、企画は置いといて普通に友達になりましょう。
D: イマドキの子は本は読んでも、書店には来ないからね。
A: それで自分はこの業界に絶望して辞めちゃいましたよ(笑)。だって、ぜんぜん本が売れない!
D: そうなんだよね。上の世代が言う、「本が売れていた時代」という、共同幻想を我々は知らない。
C: そんな慢性的に不況な業界に入ってきた我々が若手なりにこの業界について思うところと、そんな中でも売れている本を挙げていくというのが、今回の座談会の目的なんだよね? そうじゃないと、取引先が目の前にいるのにめったなこと言えないよ(笑)。
A: じゃぁ、冒頭から業界の地獄絵図を話しても明るくならないから、最近売れている本から始めようよ。
C: 『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)【1】は、シリーズ3冊とも好調だよね。