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写真時評~モンタージュ 現在×過去~

「人類館事件」と博覧会(上)

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「原住民集落」(パリ万国博覧会/1889年/著者蔵)

 2025年の万国博覧会の開催国決定が、約半年後に迫っているという。1855年の万博を皮切りに幾度となく国際博覧会を開催してきたパリは、「フランスの納税者がリスクを負わないという保証がない」と立候補を辞退したが、日本は2800万人という来場者数を想定して、2005年の愛知万博から20年ぶりの開催を目指すようだ。

 日本で開催された最初の万博は、1970年の大阪万博だが、1903年に大阪の天王寺で開催された第5回内国勧業博覧会は、日本の農業や工業、水産、美術、教育などをテーマとした10館のパビリオンをはじめ、海外の出品物を展示する参考館といった政府公認のパビリオンなどから構成され、参加国数やその規模でもそれまでの4回を大きく上回る、準万博的な国家イベントであった。出品者らは顔写真と署名付きの入場券(123ページ)を門衛に示せば自由に会場に出入りできたようだが、こうした通行証の発行は1867年のパリ万博でも行われていた。

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