――前記事「西成から歌舞伎町、ホームレスまで――ヤバい現場に入り込んで調査! 社会学でわかる日本の裏の顔」では主に博士論文が書籍化されたものを見てきたが、そもそも、学術書はどうやって作られるのだろうか? 新曜社の高橋氏に聞いてみた。
『学術論文の技法』(日本エディタースクール出版部; 新訂版)
「学術書の編集者は日頃から学術雑誌は読んでおり、さらに大学図書館に行ったり、学会大会に参加するなどして、そこから書籍化できそうな論文を探していますが、公開されていない博士論文は読めませんし、あらゆる研究報告に精通するのは難しい。そこで、知り合いの学者の紹介や、学会での口コミなどのツテを辿って注目の研究を知ることも多いです。
また、すでに著書のある先生の場合は、その先生が最近発表された論文をいくつも読み、『この論文のテーマではまだ本を書いてないから』『最近の分析などを加えて』ということで、既刊の次に読者が知りたくなる内容の本をお願いしています。
こちらから声をかける以上、当然売れるようにしたいですが、やはり学術書は高額になり厳しいです。ただ、先生も広く本を紹介したいということで、例えば印税率10%で本の定価が3200円するのであれば、印税率を下げて2000円台にしようと協力してくださる場合もあります。広い読者を得て議論が深まるのが先生と編集者の希望ですからね」