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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【35】

文化とは、塀の上を歩く紳士たちが育てるもの――幽霊、紳士と山師がエロを捨てる日。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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今回の「裏」はこの本が描いた80年代に始まっているが、アダルトビデオやゲームほど儲からない分、出版はまだ牧歌的だった。

 今月の特集は定番の「裏」だが、マンガ編集者だった筆者にとって最近の「裏」といえば、市販のマンガ単行本を無料でバラ撒く違法ダウンロード海賊版サイトの「漫画村」だ。毎月10億以上もアクセス数を稼ぎ、出版社の収益は右肩下がりでマンガ家たちも頭を抱えているのだが、このサイトにスクリプト型マルウェアが仕込まれていた。マンガと一緒に仮想通貨生成(マイニング)プログラムもダウンロードされ、知らぬ間に仮想通貨を巻き上げられるのだ。

 もともと、海賊版サイトは広告表示の成功報酬(アフィリエイト)で稼いでいたが、その多くはDMM関係の広告だった。これはDMMの出自がアダルトビデオ販売や動画配信だったからで、海賊版サイトも風俗商売系ヤクザのシノギから派生していた。また、初期の違法ダウンロード対象は同人誌で、取り締まりの法的根拠が曖昧なため黙認されていたが、広告経由でDMMへ会員登録されると成功報酬が高くなるので、さらにアクセス数を稼ごうとして商業単行本にも手を出した。当然、出版社側から雑協経由で突き上げがあり、DMMのグループ企業であるジーオーティーの単行本まで違法ダウンロード対象だったことも判明した。結果、事業多角化と正業化で過去の腐れ縁を切るタイミングを図っていたDMMから引導を渡され、ジャポルノ系裏ビデオ配信と同じように海外サーバー経由で地下へ潜った。地下経済では仮想通貨の利便性が高いので、冒頭の話になったわけだが、DMMがついにアダルト事業を分社化したことも興味深い。

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