通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!
――川崎重工の新幹線台車製造ミス、神戸製鋼の鋼材品質偽装、東洋ゴムの免震ゴムの偽装、自動車メーカーのリコール隠し、東レのタイヤ部材の偽装などなど、名だたる日本の製造業者による数え切れないほどの製品の不祥事。中国や韓国に数では負けても、質では負けないのが自慢だったはずが、それすら実は張り子の虎だったと露呈したニッポン。一体全体どうしてこうなった!?
今年開催された、MWC2018の模様。毎年バルセロナで開催されており、世界中から注目を集める。
クロサカ 今回はスペインのバルセロナで開催されている、モバイル・ワールド・コングレス(MWC)【1】というモバイル業界の見本市に来ています。そこで、世界のものづくり事情に詳しい美谷さんがいらっしゃったので、これ幸いと対談することにしました(笑)。
美谷 MWCに併催されているフォー・イヤーズ・フロム・ナウ(4YFN)というスタートアップ企業のための展示会があって、そこでアナログ電話をIoTデバイスにしてしまう「hackfon」という製品を展示しました。
クロサカ 4YFNの会場はどうでした?
美谷 ハード系が少なくて、AIとかビッグデータなどのソフト系が多かったですね。ただ、展示の仕方やブースの見せ方は、正直なところあまり工夫がなかったかな。それでも韓国には勢いを感じました。政府が展示費を補助しているそうで、50社くらい来ていました。意外なことに、中国やフランスの企業が全然いなかった。
クロサカ フランスは、MWCのメイン会場ではそれなりにそろっていて、中国はファーウェイのような個別企業こそ「主役級」だけど、小さなものづくり企業はあまり見かけませんでしたね。アメリカのCES【2】で山ほど見たのとは対照的です。
美谷 MWCはモバイル業界がメインなので、ものづくり系とは相性が悪いのかもしれない。ただそれだけじゃなくて、どうもスタートアップ全体が袋小路に入っている感じもします。
クロサカ フェイスブックやUberといったIT系スタートアップは、どれも急成長するものだと思われがちですが、実は地道に成長のステップを歩んでいく企業も多い。それに、無理に会社を大きくしようとすると、逆に強みが消えてしまうこともある。でも、多くの投資家は前者のような成長モデルを期待するので、そこに齟齬が生じているのかも。