世間では、芸能人のスキャンダルネタが百花繚乱。その半面で、小室哲哉不倫報道からの引退などに対して、週刊誌の“行きすぎた”取材記事への批判の声も高まっている。そうしたネタ合戦の裏では、地道に取材を続ける現場記者たちの姿があった……。
『週刊誌風雲録』(筑摩書房)
文春砲をはじめとするスキャンダル報道が加熱しており、各誌がしのぎを削る週刊誌。近年、脚光が浴びているようにも見えるが、出版不況の実情はそんなに甘くはない。日々、ワイドショーやネットで世間を騒がせ、話題を呼んでいる割には売り上げには結びついていないと、記者たちはこぼす。
さらに1月の小室哲哉の不倫報道が、小室の引退というまさかの結末に。引退会見で語られた「妻の介護」や「自身の病気の告白」に世間から同情的な声が多く集まり、文春に対して非難が集中した。ネットやワイドショーでは、ゴシップ報道の是非といったところまで話が波及し、週刊誌にはいささか見当違いにも思える逆風が吹いている。渦中の週刊誌記者たちは今、何を思うのか。毎日、取材、原稿書き、校了(原稿を印刷所に送る締め切り日)とせわしなく働き続けている彼らの1週間(次記事「取材、接待、会議に張り込み……毎日働きづめ!? 密着!週刊誌記者の7日間戦争」)とその声を取材した。
まずは不倫報道バッシングについて。大手週刊誌記者は、嘆きの声をあげる。
「僕はそもそも、週刊誌は最底辺のメディアだと思ってますからね。週刊誌が打ち出す記事が正義だとは思ったこともないし、そこに倫理的な批判をされても……とは思います。この間、文春の記者とも話しましたけど、10年前から誌面の内容は変わってないんです。なぜ今さらたたかれるのかとは思います」(記者A)
矢口真里だ、ベッキーだと騒いでバッシングしていた世間が、いつの間にか一転して擁護に回る。そこにはネットやテレビの報じ方も関係しているという。