韓国では、「ウェブトゥーン」というPCやスマホで読むマンガが早くから発展。そして今、韓国資本のLINEマンガ、comico、ピッコマといったアプリが日本のマンガ市場で存在感を放つ。これらアプリのビジネスモデルをひもとき、そこで配信されるヤバい作品を挙げながら、ウェブトゥーンの強度を探りたい。
XOYのテレビCMには、マンガ好きを自称する広瀬アリスが出演。
近年、スマホで読めるマンガアプリが続々と登場し、その利用者も急増している。2017年3月にニールセンが発表したマンガアプリ利用状況によると、同年2月の月間利用者数は1位が「LINEマンガ」の279万人、次いで「comico(コミコ)」の260万人、3位は「マンガワン」の247万人で、4位以下は月間100万人規模の「マンガボックス」「少年ジャンプ+」「GANMA!(ガンマ)」と続く。
LINEマンガは日本国内で累計1800万ダウンロード(17年12月時点)を超える日本最大のマンガアプリ。運営元はLINEであり、同社は韓国最大のインターネットサービス会社、NAVERの子会社である。2位のcomicoは、NHN comicoが運営。つまり、利用者数トップ2が、いずれも韓国資本のマンガアプリなのだ(ちなみに、LINEの公式見解によると、LINEマンガは日本で開発され、日本で運営しているアプリだという)。
さらに、「XOY(ジョイ)」の運営元もNAVERだが、ムロツヨシ出演のテレビCMで知られる「ピッコマ」は、メッセンジャーアプリのカカオトークを展開し、韓国ではNAVERのライバルであるDAUMカカオの日本法人、カカオジャパンが運営する。
韓国のマンガアプリに特徴的なのが、「ウェブトゥーン」と呼ばれるスマホのUIに合わせた縦スクロール形式のマンガである。日本では、comicoで連載中で、アニメ化・映画化された人気作『ReLIFE』(夜宵草)により広く知られた。
なお、comicoやXOYはこのウェブトゥーンに特化したアプリであり、韓国人作家によるウェブトゥーンを日本向けに翻訳・ローカライズ(登場人物の名前を日本名にしたり、地名や紙幣を日本のものにしたりする)した作品や、『ReLIFE』のような日本人作家の作品を扱う。一方、LINEマンガとピッコマは、日本の各出版社の連載マンガを掲載するプラットフォーム型のアプリで、後者はオリジナルのウェブトゥーンも扱う。
日本のマンガアプリ市場は、これら韓国勢に押されつつあるのだ。
まず、日本と韓国のマンガアプリのビジネスモデルは、どう違うのか? マンガやネット文化に詳しいライター/編集者の飯田一史氏によれば、韓国勢の特徴は「基本的に広告を入れず、コンテンツを売ろうとしている」点にある。