法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。
座間9遺体殺人事件
2017年10月、神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が発見され、警察は白石隆浩容疑者(27)を死体遺棄容疑で逮捕。警察の調べによると白石容疑者は、ツイッターを利用して自殺願望を持つ女性たちを自宅アパートへ誘い出し次々に殺害。遺体を解体し、頭部をクーラーボックス等に保管していた。金銭・性的暴行が目的だったと供述している。
「神奈川・座間9人“猟奇殺人”『宮﨑勤』との共通点」(「AERA dot.」2017年11月6日付)
「《座間9遺体 史上最悪の『快楽殺人』》白石隆浩は遺体損壊をスマホで撮影していた」(「週刊文春デジタル」同16日付)
17年10月末、神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が発見された事件。日本の犯罪史上、一家皆殺しや放火などで一度に大量の人が犠牲になるのではなく、いわゆる連続殺人で9人の被害者を出すのはきわめて特異なケース。それだけに週刊誌などは、センセーショナルな見出しを掲げつつ過去の連続殺人事件を引き合いに出し、今回これほど被害が拡大してしまった理由を、白石隆浩容疑者の異常性や犯行の手口の巧妙さに求めようとしています。
しかし、それは違うのではないか。報じられた事実から判断するに、彼の人格や犯行内容には、多くの殺人事件と比べてさほど特異な点は認められない。過去に世を騒がせた連続殺人との共通項は少なく、むしろごく一般的な殺人に分類すべき要素を多く含んでいる。それが現時点での私の見立てです。
どういう点からそう判断できるのか。またその見解が正しいとして、ではなぜこれほど大量の犠牲者が出てしまったのか。さらに、そこから見えてくる“9人”という数字の持つ意味とはなんなのか。今回はそうした疑問に答えていきたいと思います。