サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 窪田正孝の凄みとハイロー未来への期待 【対談後編】
第1特集
琥珀さん、勉強させていただきます!サイゾーpremiumハイロー祭【3】

『HiGH&LOW』は忠臣蔵になる! 未来への期待とこれまでの感謝を込めて――ありがとうハイロー、お体だけはどうぞ大事に… 【対談後編】

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今作のガンちゃんさん、最高に輝いていました。(You Tube『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』予告第二弾より)

 映画『HiGH&LOW THE MOVIE』に脳を焼かれてから1年数カ月。夏の『END OF SKY』公開時にも開催したハイロー対談@サイゾーが、再び帰ってきた。毎度おなじみ映画ライターの加藤よしきさんとヤンキーマンガとEXILE史学に詳しいライター藤谷千明さんが、『FINAL MISSION』について徹底討論! 窪田正孝とキリンジ(小野塚勇人)に助演男優賞を!? さらに渡辺裕之問題からTBS版ハイロー構想、『HiGH&LOW THE ORIGIN』が出来上がる未来の話まで、ハイローをめぐる最後の放談祭りです。(なお、今後新作が公開された場合にはこれが最後とは限らない場合がございます/今回も同席している編集者は重度のLDHオタクです)
※本記事は映画『HiGH&LOW THE MOVIE3 / FINAL MISSION』のネタバレを含みます。

まずは窪田正孝の話をさせてくれ

藤谷:ザム3の演技といえば、スモーキーですよ。窪田正孝さん、今回もちょっとしか出てないのに、出ているところは全部すごかった。

加藤惜しい人を亡くしました……。タケシとやり取りするシーンで、タケシ役の佐野(玲於)くんは、正直ドラマの最初のときはかなり演技が厳しいと思っていましたが、心なしか彼もうまくなってました。スモーキーと二階堂の絡みもすごくよかったですし、あの場にいた全員の演技力を底上げするくらいの力が窪田くんにはあります。最後も、ちょっと時空が歪みますよね。全力疾走してくる敵に対して、スモーキーが心中をゆっくり語るっていう。あれは少年マンガ的に正しいです。

藤谷:「まったく、最高の人生だった」って、完全に『BLEACH』【1】の作法ですよ、あれは。見開きブチ抜きのコマで表現しているところですね。

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【1】(久保帯人/集英社)家族を守るために悪霊・虚(ホロウ)を退治する死神になってしまった高校生・黒崎一護の活躍を描く。18年に福士蒼汰主演で映画化もされる。

加藤:最後まで強いまま、強くてかっこいいまましっかり死んだ。

藤谷:正直彼はSWORDの頭の中で、一番突飛な設定ですよね。スラムで育って、超強くて、難病を抱えている。この超無理難題設定を違和感なく表現して有終の美を飾るって、この世で窪田さん以外できないと思いますよ。ちょっと下手な役者がやった場合、100%寒いギャグになる。

加藤:達磨の日向を演じた林遣都くんもそうで、あの人たちの俳優としての底力を見ました。もちろん衣装や周りのデザイン、美術とかの人達もものすごく優秀だから、こういう素晴らしい概念を具現化できたんだと思うんですけど、その中でも、この方の演技力っていうのは強かったんだと思いますね。だからこそスモーキーには最後に戦ってほしかった。

編集部今回刊行する『HiGH&LOW THE FAN BOOK』の中でスモーキー推しの方を集めて、あの死に様をどう受け止めたのか聞く「スモーキー追悼座談会」をやったんですけど、みなさんやっぱり「もう一回最後にアクションが欲しかった」と言ってましたね。「せめてキリンジを殴るところは見たかった」と。

加藤:キリンジにハイキック一発でいいから入れてほしかったですね。で、その後二階堂に刺されるでもいいですし。あれは多分、中途半端にアクションするくらいなら全部切っちゃおうという判断なんでしょうね。

藤谷:それは正解な気がします。

加藤:ただ、切ったわりに、死んだところは映すんかいって。そこの取捨選択でちょっと疑問は残りつつも、やっぱり「Break into the Dark」が流れるあのシーンは、本編で一番の見所と言っても過言ではないです。劇場で観たとき、ちょっと泣きました。

藤谷:生コンが「サビ」なら、あそこは「大サビ」ですね。

編集部:「Break into the Dark」はザム2からの挿入歌ですけど、歌詞を読むと完全にルードボーイズの曲ですね。「I’ve gonna never give up」って繰り返してて、「俺達は生きることを決して諦めない」の姿勢ですよ。この起用、LDHウォッチャー的には、“アフロジャック接待”にしか思えなかったんです。でもザム3で流れてきたときに、「うがった見方をしてしまいすみませんでした。素敵です」って思いました。

ルードボーイズの曲だったのだ…

藤谷:あそこは一つのクライマックスではありますね。まあ常にクライマックスなんですけど。

 演技力でいうなら、小野塚勇人さん=キリンジの話をさせてください。ザム3の収穫の一つとして、キリンジがめちゃめちゃカッコよくなってるという点があげられます。作中でも幹部に出世してますし。それでいうと、ザムのときの対談で謝らなければならないことがひとつありました。あの対談では「LDHの人間同士は勝負をつけてない」という説を掲げましたけど、ドラマ版から勢い良く負けてるLDHの人、いましたよね。そう、劇団EXILE・小野塚勇人さん演じるキリンジです。申し訳ありませんでした!

加藤:そういえば、キリンジは盛大に負けてましたね。

藤谷:いってしまえばキリンジは、当初は勝負の土俵にすら上がらせてもらえないキャラクターだった。ドラマ版では日向に相手にもされず、ザムでは九十九さんにワンパン一発KOです。それがザム3ではものすごい存在感を放っていた。これは1年間『仮面ライダーエグゼイド』【2】で九条貴利矢(仮面ライダーレーザー)役をやっていた結果、ケレン味のある演技を身につけたんだろうな、と。ハイロー自体、「特撮に近い」「2.5次元に近い」ということが指摘されている通り、キャラクターと生身の人間の中間を表現する術を学んだんでしょうね。

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【2】16年10月から17年8月までテレビ朝日系で放送された平成仮面ライダーシリーズ第18作目に当たる作品。小野塚勇人さんはこの作品で爆発的な人気を得て、アジア圏からのファンレターも殺到したとか。

加藤:格段にうまくなってると思います。

藤谷:だってキリンジ、やってること自体は前とあんまり変わってないというか。馬場の存在には気がつかないし、実際そんなに役に立ってないですし。でも登場シーンの重機からの降り方がかっこいいし、人さらいの仕方もかっこいい。これからの活躍が期待される、それこそ名前の通りの「麒麟児」になったわけです。

編集部:あのガラス破って、「はーい、こんばんわー」も大好きですね。確実に「ハイロー力」が上がっていました。

加藤:そこは「ハイロー力」じゃなくて「演技力」でいいと思いますが……。ともかくシリーズ足掛け3年やってるわけですから、その間にいろんなところでいろんなことを皆さんが経験されて、やっぱり全員うまくなっている。

藤谷:ガンちゃんさんの成長も著しいです。琥珀さんに助けてもらうシーンも表情の変化なんか素晴らしかった。

加藤:それこそ、「もう拳だけじゃ解決できねぇ」もすごく良い表情でした。

編集部:声の出し方もすごく変わりましたね。今ドラマシリーズを見ると、普段より低い声でしゃべるのが大変だっていう前提はありますけど、かなりきつそうに聞こえる。でも今回はそれこそ「拳だけじゃ解決できねぇ」とか、ちゃんとコブラの喋り方で感情ものせていました。

藤谷:ダンの糾弾を受けて「そんなことお前に言われなくてもわかってんだよ」のシーンも印象に残っています。目とか表情で演技できるようになっていて。

加藤:「分かってる」と言いつつ迷っているところがうまく出せてますよね。ただ、ガンちゃんさんも若干スケジュールの都合があったのかなと思いました。インパクトのあるシーンは多いんですけど、実は出演時間はそう多くない。一人のシーンと、大御所俳優の方々とのからみのシーンが多くて、前回のジェシーとの格闘シーンみたいながっつりしたタイマンも無かったですし。

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【3】2010年からスタートしたAKB48出演の連続テレビドラマシリーズ。シーズンを重ねるごとに人気メンバーの出演時間がどんどん短くなっていき…。

藤谷:爆発にせよ生コンにせよ、インパクトが強くて気がついていませんでしたが、たしかに。「無名街爆破セレモニー」に証拠のエリ、馬場、資料を連れてくのは琥珀さんと雨宮兄弟ですもんね。エリを後部座席に乗せていたのはコブラのはずなのに、いつのまにか別れて地下の駐車場で九龍を待ち構えていて、やっぱり一人になりがち。『マジすか学園2』【3】における前田敦子現象ですよ。

加藤:『エクスペンダブルズ2』におけるジェイソン・ステイサムですね。

編集部:ヤマトとノボルも実はそんなに出てないですしね。鈴木伸之さんも町田啓太さんも売れっ子になりつつあるから、忙しかったんだろうな、と。

藤谷:ハイローから飛び出してちゃんと活躍の幅が広がったという意味ではポジティブに考えるべきことですし、「たられば」を考えても仕方がないですが、全員のスケジュールが万全な状態のザム2ザム3を観てみたかったですね。

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