――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!
緊張の面持ちながら、櫓の上で盆踊りに興じる米軍関係者たち。日々の仕事を忘れて会場を盛り上げる姿は、なんともほほえましい。(写真/ケイコ・K・オオイシ)
去る8月5日の土曜日、神奈川県座間市で、とある盆踊り大会が開催された。今年で58回目を迎える座間の夏の風物詩「日米親善盆踊り大会」だ。この盆踊りが少々特殊なのは、在日アメリカ陸軍司令部が置かれる米軍基地、通称〈キャンプ座間〉で行われるということ。主催は在日米陸軍基地管理本部。近隣からの来場者も多いが、盆踊りの中心を担うのはあくまでも米軍関係者。今月は、ここ最近、盆踊りフリークたちの間でも静かに注目を集めつつある、この盆踊りの潜入レポートをお届けしよう。
通常、米軍施設に入るためには、いくつかの手続きが必要となるが、この日は身分証の提示と簡単なボディチェックだけで入場できる(ただし、アルコールや危険物の持ち込みは禁止)。迷彩服を着たエントランスの関係者からは「Have a nice day!」という声をかけられ、その表情も実にリラックスしている。
巨大な会場に一歩足を踏み入れると、そこはまさにアメリカ。バーベキューで豪快にチキンを焼く飲食ブースが広がっているほか、巨大なサウンドシステムを設置したステージでは、米軍関係者が爆音でボン・ジョヴィのカバーを披露している。また、DJブースでは大柄なDJがケンドリック・ラマーやブルーノ・マーズをプレイし、日米の若者たちが大騒ぎしている。
盆踊りがスタートするのは夜7時頃から。大きな櫓と提灯でデコレートされた空間は通常の盆踊りとなんら変わらず、「ドンパン節」「炭坑節」「東京音頭」「ソーラン節」といった盆踊りの定番に加え、地元の盆踊り歌である「座間音頭」もかかる。