女性の怒りを買って炎上する動画広告が多発している。何が女たちの逆鱗に触れるのか? 女心を読み解く本誌連載「オトメゴコロ乱読修行」でおなじみのライター・稲田豊史氏にその疑問を解いてもらった。
「牛乳石鹸」動画で怪演を見せた俳優の新井浩文は、ツイッターで「うちの事は嫌いでも、牛乳石鹸は嫌いにならないでください」と訴えた。
ウェブ動画広告の炎上が相次いでいる。CMや広告に消費者からのクレームが寄せられるのは今に始まったことではないが、昨今の炎上は、怒りの急先鋒を女性が担っている点に特徴があるようだ。
彼女たちの怒りポイントは、概ね3点に集約される。「オヤジ仕様のエロが不快」「女性の性を商品化していて不快」「男女同権・ジェンダー的見地からみてポリティカリー・コレクトではない(政治的に正しくない)から不快」だ。
ただ、個々の動画広告のどの表現、どのセリフが「不適切」だったかを議論しても、はっきり言って無駄である。極論すれば、炎上したのは内容が絶対的にマズかったからではない。現在のネットではゾーニング(コンテンツの閲覧を、性別・年齢別・クラスタ別に制限すること)ができないからだ。