どうかしちまったのは琥珀さんだけじゃなかった…。(「HiGH&LOW THE MOVIE」DVD)
『HiGH&LOW THE MOVIE』に殴られてから、1年がたった。
『君の名は』や『シン・ゴジラ』に沸いた昨夏の邦画界において、同作は興行収入21億円にとどまりながら、局地的に絶大なブームを生んだ。世に言う「どうしちまったんすか琥珀さんムーブメント」である。
本誌編集部でも、一部の編集者がこの作品に脳を焼かれ、焼かれた勢いのままに、「HiGH&LOW」プロジェクトを動かすLDHとも、映画の配給会社である松竹とも特に関係なく、勝手に特集を組んだ。
■『EXILEがオタクを殴り倒した夏――興行収入だけでは測れない!映画『HiGH&LOW』ムーブメントに迫る』
■『『HiGH&LOW』は〈国産の海外映画〉である。"EXILEへの偏見"が、かえって映画への没入を加速させた!』
■『俺たちは劇場でEXILEとタイマン張ったんだ――『HiGH&LOW』でHIROが望むのは「親殺し」? 今後の展開を予想する!』
■『『HiGH&LOW』は対ジャニーズ連合軍か!? テニミュ、ジュノンボーイ、メンノンetc…イケメンカルチャーの集大成を見た!』
■『幼なじみ、義兄弟、闇堕ち…『HiGH&LOW』を見た腐女子が読み返すべき傑作BL40選』
別冊サイゾー「想像以上のマネーとパワーと愛と夢で幸福になる、拳突き上げて声高らかに叫べHiGH&LOWへの愛と情熱、そしてHIROさんの本気(マジ)を本気で考察する本」
あまつさえ、同じように脳を焼かれた方々に協力いただいて、勝手に考察本までつくってしまった。
それほどまでに、『HiGH&LOW THE MOVIE』の衝撃はすさまじかったのだ。
あらためて説明すると、「HiGH&LOW」とは、EXILE本体から三代目 J Soul Brothers、GENERATIONSにTHE RAMPAGE、劇団EXILE、そしてE-girlsまで、LDHに所属する面々が大挙して出演する、LDH製作の映画及び一大プロジェクトである。公開前〜直後は「EXILEファンしか観ない」という下馬評が大半だったが、前述の通り、本来のLDHファンではない層にまで突き刺さった。
その理由としては、さまざまな要因があげられる。LDHのパフォーマーたちの肉体を活かしきったアクション、他事務所の俳優たちの名演、こだわりの音楽とカネのかかった映像、多すぎるキャラ数、ガバガバの設定と世界観……etc,etc。上記の記事やムック本では、そうした魅力をさまざまな角度から語った。それでも語り尽くしたとはいえないくらい、ハイローの沼は深かった。
さて、この1年で何があったか? 1年前の時点でわかっていたのは、スピンオフ映画『HiGH&LOW THE RED RAIN』が公開されること、ドームライブ「HiGH&LOW THE LIVE」が開催されていることだけだった。『THE RED RAIN』を観る限り、物語はまだ終わらないらしい。続編をジリジリと待つしかない――そう思ったのは、杞憂だった。というか、ハイローをつくりだすLDHという組織をナメていた。
元旦に更新された公式HPの画面。正月早々血が滾った。
2017年元旦、「HiGH&LOW」のウェブサイトが更新された。「謹賀新年」の挨拶と共に、「HiGH&LOW THE MOVIE2 8.19全国ROADSHOW! HiGH&LOW THE MOVIE3 11.11全国ROADSHOW!」という文字が並んでいる。やるのか。一気に2本も。
そこから堰を切ったように、次々と新プロジェクトが発表されていった。3月にはマンガ家・CLAMPとのコラボ企画「HiGH&LOW g-sword」がスタート。5月によみうりランドとのコラボイベント「HiGH&LOW THE LAND & THE MUSEUM」の開催が発表され、6月にオープン。そうこうするうちに新作映画の情報も更新され、それぞれタイトルは『HiGH&LOW THE MOVIE2/ END OF SKY』および『HiGH&LOW THE MOVIE3 / FINAL MISSION』と判明した。タイトルの含意を考察しているこちらを置き去りに、新規追加キャストが発表され、予告映像、そして各キャラクターの新ビジュアルが公開され……またたくまに8月19日、『HiGH&LOW THE MOVIE2/ END OF SKY』公開日がやってきた(そしてTAKAHIROさんが結婚した。おめでとうございます)。
率直に言って、『HiGH&LOW THE MOVIE2/ END OF SKY』も想像以上の素晴らしい出来栄えであった。おなじみの面々のキャラクターの作り込み、新登場キャラたちの味付けの濃厚さ、日本映画ではついぞお目にかかれなかったようなカースタント、観たこともない動きをするアクション、掘り下げられたストーリー……ハイローは、さらに強さを増して1年越しで再び殴りかかってきたのだった。
今年も脳を焼かれることに悔いはない。まだ観ていない方の背中を押すべく、すでに観た方を再び劇場へ誘うべく、今年もサイゾーpremiumでは勝手に祭りを開催することにした。なお、今回も“達磨”は通していない点はご承知おきいただきたい。
■9/14公開予定『前回の予想も的中!加藤よしき×藤谷千明が語るハイロー新作映画のヤバさ』(対談前編)
■9/15公開予定『岩田剛典に畏怖と敬意を!加藤よしき×藤谷千明が語るハイローに残された課題』(対談後編)