福祉国家の優生思想 (世界人権問題叢書)
(明石書店)
優生学的な政策は戦後においてもさまざまな国で取り組まれていた。それは福祉国家として知られるスウェーデンも例外ではなく、1997年には、同国において優生学をベースとする不妊手術が30~70年代にかけて大々的に施されていたことが世界的に報じられ、騒動を巻き起こした。
それによると、34年に制定され、41年に改正された断種法の下で、精神病患者や知的障害者に対する断種が行われていた。75年には本人の明確な同意なしに不妊手術を認めないという法改正がなされたが、それまでの40年あまりの間に施された不妊手術は6万2000件以上にも及んだという。