――日本のぱちんこ業界の資金が北朝鮮に流れていた時代など、とうの昔に終わっている。ぱちんこ店をたたまざるを得ない経営者も増えるなか、自分たちの生活を投げ打ってまで“遠い”祖国を支援できるほど、皆余裕はないのだ。
『マンガ 金正恩入門―北朝鮮 若き独裁者の素顔―』(ティー・オーエンタテインメント)
警察がぱちんこ規制の強化を図る理由の一部に、「北朝鮮への制裁強化」という側面があると警察関係者D氏は言う。これは歴史的経緯を見たとき、ぱちんこ店経営者に「朝鮮総連系(北朝鮮系)」の人々が多く、各ぱちんこ店で上がった利益の一部が、さまざまな形で北朝鮮に流れているという構造があると考えられてきたためだ。拉致問題や核・ミサイル問題で、北朝鮮に外交的な圧力をかけたい日本政府としては、その資金源を絞るという立場を徹底させ、つながりが疑わしいぱちんこ業界の規制を進めるべしという方針を掲げることになったという。
「ただ北朝鮮に対する制裁という文脈でのぱちんこ規制は、“屋上屋”的な傾向が強い。というのも、北朝鮮籍船舶の乗員などの上陸の原則禁止など、日本政府が制裁として考えうる措置は、あらかたやり尽くしています。それでも、北朝鮮には効き目がない。そこで、わずかにでも北朝鮮に圧力をかけられるだろう可能性をしらみつぶしにしていくうちに、過去に送金の実態があった総連系ぱちんこ店への圧力という措置が想定されはじめたんです」