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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【28】

昨今のプロ野球のあれこれをみて考える――幽霊、興行は清濁併せ呑む暇つぶし。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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『巨人軍「闇」の深層』(文藝春秋)と併読すると、興行としての野球に付きまとう「穢れ」が見えてくる。

 ジャイアンツの山口俊が暴行事件を起こしたのだが、球団も事態を把握できていないようで、本稿を書いている時点では、警察の取り調べが固まらないと処分も決まらないという珍事態になっている。巨人のことだから揉み消しに忙しいのだろう、という言説もあるが、今回は病院で暴れて警備員に暴行なので、個人ではなく会社同士の問題だ。そうなれば時間も金もかかる。

 それにしても、巨人はFA移籍の際に身辺調査をしなかったのかと、昨年秋からずっと首をかしげている。ベイスターズから巨人へFA移籍する時点で人間性に問題があるのは村田と同じだが、ベイ時代から素行不良で知られていた山口を擁護する声はまったくない。タニマチ筋が同じでよく遊んでいた高知東生が覚醒剤所持容疑で逮捕された際も、芋づる式に逮捕か? と思っていたし、昨年の故障によるCS登板回避から今季の復帰登板まで時間がかかったのも、清原逮捕後に曲者で売っていた野球評論家が一カ月消息不明だったような毒抜きか? と疑っていた。それでなくとも、主力選手の多くが、地元財界という名の港湾やくざの紐付きだったTBS時代の体質にどっぷり浸かっていた山口の退団でむしろ胸を撫で下ろしたのも事実だ。最低の不人気球団だったベイなら多少のスキャンダルは話題にもならないが、物事には限度がある。逆に言えば、人気球団である巨人は、過去の問題であっても遡って揉み消さなくてはならないリスクを背負ったのだ。前監督と熱海のピンク旅館といい、野球賭博問題といい、この球団は危機管理という発想がないのか。

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