――“地球上でもっとも危険な格闘技”と言われている、ミャンマーの伝統的な格闘技「ラウェイ」に挑む日本人選手は、トレーニング方法も狂っていた。
(写真/永峰拓也)
「毎週、埼玉のとあるビルの倉庫の中で、現役の不良さんや元暴走族の方に殴ってもらうんです」
まるで映画『ファイトクラブ』のようなトレーニングを実践するこの男は、“地球上でもっとも危険な格闘技”とも称されている「ラウェイ」の選手、金子大輝。ミャンマーの国技であるラウェイは、グローブではなくバンデージを巻いた素手での殴り合い。頭突き、肘打ち、故意でなければ金的攻撃も認められ、気絶しても目が覚めれば試合は続行されるという血の気が引くほどの過激さを持つ。タイのムエタイなどと比べると日本での知名度は低いが、ミャンマーでは後楽園ホールより少し小さめの会場が観衆であふれ返るほどの人気競技である。
そんなラウェイの舞台において、外国人選手でありながら、ミャンマーで絶大な支持を受けているのが金子だ。もともと、体操選手だったが、マンガ『グラップラー刃牙』(秋田書店)に出会ったことで、闘争本能が目覚めてしまったという。