サイゾーpremium  > 特集2  > ジリ貧ラジオが今背負うもの【3】/過激な【深夜お笑い番組】

――お笑い芸人にとって、ラジオはテレビよりもゆるくのんびりした現場。テレビでは見せない鋭い発言や社会的事件への意見を繰り出す場となっている一方で、特にラジオ番組内での発言を切り取ったネットニュースが急増している。ITやネット環境の変化は、制作現場にどのような影響をもたらしているのか?

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ANN50年の歴代パーソナリティが豪華なこと!ビートたけしのANNは、今も伝説となっている。

 深夜のお笑いラジオといえば「クラスの数人だけがこっそりと聴いているもの」という感覚はいつの時代も変わらないものだった。熱心にネタを投稿するリスナーはハガキ職人と呼ばれ、特にニッポン放送の『オールナイトニッポン』やTBSラジオの『JUNK』という帯枠は、放送局の顔とも呼べるほどに圧倒的な人気を集めている。そこでは、普段テレビでは観られないような芸人たちのおしゃべりやリスナーとの濃密なやりとりが聴け、時にはその週に起こった事件に対してリスナーをヒヤヒヤさせるほど率直な見解や、不祥事をネタにしたボケなど過激な放送で、確固たるブランドを築き上げてきた。しかし、そんな“知る人ぞ知る遊び場”にも、タイムフリーによって新たなリスナーが流れ込んできている。

 ここでは『JUNK』のプロデューサー・宮嵜守史氏と、『おぎやはぎのメガネびいき』などを担当している放送作家・鈴木工務店氏、そして『岡村隆史のオールナイトニッポン』などを担当しているディレクターの“ビーチ”こと鈴木賢一氏に話を聞きつつ、ラジオ番組の中でも一大コンテンツであるお笑い番組の制作舞台裏や現状をみていこう。

タイムフリー派増加でもやっぱりナマがいい☆

 YouTubeなどの違法アップロードはさておき、10年ほど前までは完全なる生(リアルタイム)放送であった深夜ラジオ。しかし、2005年頃からスタートした「ポッドキャスト」によってリスナーの聴取習慣は一変したといえる。本編を部分的に切り出したり、番組アフタートークや専用コーナーを収録したものを再録して配信、音楽プレーヤーなどにダウンロードして「いつでもどこでも好きな時に聴ける」というスタイルがもたらされたのだ。

「ポッドキャストは、従来からのリスナー以外への番宣効果としては抜群でした。そこからラジオの良さを知って本編を聴くようになってくれた方もたくさんいます。一方で、それだけで満足してしまう人もいたので、そう考えると、手の込んだ作りにしないで本編のいいところを5~10分載せて、リアルタイム聴取への誘導を意識したほうが良かったかもしれない。でもそれだと物足りなくて、どれほどの人が聞いてくれたかわからないし、難しいところです」(宮嵜氏)

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