通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!
日米における失敗を恐れて起業を躊躇する割合 出典:総務省「ICT産業のグローバル戦略等に関する調査研究」(平成25年)
最近話題の「ユーザーエクスペリエンス(UX)」。デザインや製品開発の言葉と捉えがちだが、現在ビジネスのあらゆる分野で注目を集めている概念だ。物やサービスがあふれる現代において、今後のプロダクトデザインに必須と言われるこの概念について、世界的な企業のプロダクトを手がけるゲストのカワナさんに聞いていくと、日本企業の古い体質や、病巣が見えてきた。
クロサカ 今回のゲストのカワナアキさんは、海外の大手デザイン会社で活躍された後、現在は独立してAirline Designという会社を立ち上げたばかり。最近、あちこちで「ユーザーエクスペリエンス(UX)」という言葉を聞くことがあります。直訳すると「利用者体験」となりますが、簡単に言うと製品やサービスの設計や開発において、いかに「利用者の目線での満足度」を大事にするかということ。なぜ今、注目されているのでしょうか?
カワナ デザイナーにとってはUXを考えることは何も新しいことではありません。プロダクトを作るとき、使う人にどんな体験をしてほしいか、どういう印象を持ってもらうか、ほかの人に話をしたくなるような感動をしてもらえるか、そういったプロダクトの先にある一連の体験を考えるのは従来から当たり前のことですよね。新しいのは、デザイナーがかかわる範囲が広がり、レイヤーが上がっているところ。プロダクト単体を見ていればよかったところから、プロダクトとほかのプロダクトとの関係や、事業全体やブランドなどプロダクト以外の領域も見なきゃいけなくなっている。だから、UXを考える時にひとりのデザイナーの意思決定の領域は広がっています。そういうデザイナーにとってUXは、デザイナーの能力や可能性をぐっと広げてくれるひとつの視点であり、問題解決の幅を広げるものなんです。
クロサカ デザインというと「見た目」のことだけだと誤解されがちですが、UXの観点はもっと広くて「サービス設計」「事業設計」みたいなところも、実はデザインの領域なんですね。